第四百十六夜   ここ三ヶ月の間に、気付けば七キロ程も体重が増えていた。自分の体重に対して十パーセント、太り気味の飼い猫丸一匹よりも大きな質量が、腹やら尻やらに蓄えられたことになる。 仕事を終えての帰り道、途中 […]
第四百十三夜   遅く起きた朝とも昼とも付かぬ時刻、ブランチの用意を終えて食卓に就くと、夫の携帯電話が着信を知らせる呼び出し音を鳴らす。彼は 「妹からだ」 と呟くと、行儀が悪いからと席を外し、先に食べていてくれ […]
第四百十二夜   給食の時間が終わって昼休みになると、クラスの中でいちばん脚の速い男子が弾けるように廊下へ飛び出して行く。 私もそれに続き、一応は駆け足禁止となっている廊下を駆け抜けて一階の渡り廊下へ出る。 雨 […]
第四百十一夜   この半年で、放課後は母の勤め先の工場へ向かうのがすっかり習慣になっていた。学校に併設された預かり施設が一時停止していた期間中に、工場が簡単な施設を整えてくれたと言って、母が嬉しそうにしていたの […]
第四百八夜   仕事帰り、野球シーズン最後の試合が気になって、久し振りに外で酒でも飲んで夕食代わりにしようかと思い立った。 駅前に、店の前面が一面硝子張りで中に大きなTV画面が見え、いつも野球中継を流しているの […]
第四百七夜   少しだけ長く寝た休日の朝、寝ぼけた頭で珈琲を淹れながらスマート・フォンをチェックすると、ある米国人の友人から久し振りにメッセージが入っているのに気が付いた。 大学時代にこちらへ留学でやってきて、 […]
第四百四夜   勤め先から車に乗って三十分、最寄り駅の近所まで来て、最近珍しいくらいの渋滞にぶつかった。 前方が動かぬのを見てハンズ・フリーのまま妻に状況を報告し、ついでに量販店での買い物でも無いかと打診する。 […]
第四百三夜   後輩の女子社員に頼まれて休日の買い物に付き合った帰り、特に用事もないので一緒に下りの列車に乗った。ちなみにこれはデートなどでは決してない。彼女に初めてできたボーイフレンドへの誕生日プレゼントを決 […]
第四百一夜   語学の授業で同級の、線の細く整った顔立ちの割に地味というか陰のある女子に気を惹かれていた。授業の終わりに声を掛け、学食で昼食でも一緒にどうかと尋ねると、やんわりと断られるが、こういうものは一度で […]
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