第七百八十九夜    商談を終えた取引先からの帰り道、駅前からほんの五分の間に上司ともども汗だくになりながらプラットフォームに付くと、電車を待つ間に、 「商談成立のお祝い」 と言って自動販売機のスポーツ・ドリン […]
第七百八十八夜    最寄りの駅から私鉄や旧国鉄を乗り継いで一時間半掛けて辿り着いた駅前は観光地らしく開発されていた。が、そこから持参した自転車に乗って山道の入口を目指すと、辺りに昔ながらの山村らしい農地と作業 […]
第七百八十七夜    梅雨ももうじき空けようという蒸し暑い日の夕方、試験前の勉強会と称して友人二人がやってきた。三人とも上京組で、比較的大学に近く、男三人がノート類を広げて座るスペースが確保できるのが我が家だけ […]
第七百八十六夜    前期日程も残すところ僅かとなって、帰省の日程を相談しようと母にメッセージ・アプリで連絡をした。時間のあるだろうタイミングを見計らった甲斐あって直ぐに返事が来るが、暇ならたまには声を聞かせろ […]
第七百八十五夜    同僚の若い女性教師が、珍しく遅刻ギリギリになって職員室へやってきた。慌ただしく荷物を広げて準備に取り掛かる彼女に何かあったかと尋ねると、 「夜中に目覚ましのアラームが掛かって起こされてしま […]
第七百八十四夜    卓上扇風機から送られてくる生暖かい風でせめてもの涼をとりながら、一向に減らない期末試験の答案用紙に赤ペンを入れていると、いつの間にやら傍らに置いたグラスの麦茶が消えていた。席を立って給湯室 […]
第七百八十三夜    渡された試験範囲表を片手に眺めながら、びっしょりと汗を掻いたグラスを手に取り、ストロを咥えて珈琲を吸う。梅雨の中休みというのか、薄雲は広がりながらも気温が高く蒸し暑い中を歩いてきて火照った […]
第七百八十二夜    夕食の時刻を回っても戻らないお客様がいるとのことで、お戻りになられたら直ぐにでも気が付くように外に出て、掃き掃除のフリでもしてソウスを見るようにと女将さんにいわれて外に出た。  今日は梅雨 […]
第七百八十一夜    教室棟入口の扉の前、長く張り出した庇というよりは洋風のポーチというべきか、兎に角雨のしのげる場所に辿り着いて傘の雨を払う。重い木製の扉を肩で押し開けると、例年より遅れた梅雨入のためか梅雨寒 […]
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