第三百六十五夜   仕事帰り、最近やや元気の無い妻に好物のアイスを買って帰宅した。近所での買い物の他はトイレ休憩でだけ車を降りるドライブくらいしか外へ出ていないから、そのストレスを労うという口実で、半分は私が食 […]
第三百六十一夜   事務所で机に向かいカタカタとキィ・ボードを打っていると、「こんにちはー」と語尾の間延びした大声とともに長い茶髪の女性が入ってくる。 仕事上の知り合いで、まだ若いのにこれでもかと派手な服装と化 […]
第三百六十夜   週三日、午前中のみと午後からのみの変則的な登校が始まって間もなく真夏日となり、午後の日盛りにアスファルトを歩いて帰宅すると、三月以来の運動不足ですっかり鈍った身体はへとへとに疲れてしまった。 […]
第三百五十九夜   約束の時間までにどうにか部屋を片付け終えてお茶の用意を済ませると、自分用のマグに淹れた焙じ茶を一服しながらチャイムの鳴るのを待つ。 約束の相手はメーカから紹介された街の電気屋さんである。ケー […]
第三百五十八夜   就職先で非常事態宣言が終了し、友人宅へ集まって久し振りに酒盛りをすることになった。 交通の便の良いところが好ましいと誰かが言い出し、それならと名乗り出た者の最寄り駅に集まると、彼は駅前の広場 […]
第三百五十夜   バイト暮らしに便利だと選んだ繁華街の裏手の古いアパートの、猫の額ほどの小さな庭に、今更斧を振り回す隙間も倒れる場所も無いほど立派なクヌギが生えている。 その根の大きく盛り上がった下に、誰が掘っ […]
第三百四十九夜   日の高くなる前に庭の草を毟り、風呂でその汗を流し、さてそろそろ昼食の準備に取り掛かろうかと、蕎麦を茹でるべく鍋に水を張って火に掛けたときのことだ。 ワンワンと二度、犬の鳴くのが聞こえる。隣で […]
第三百四十五夜   母にメモと財布とを渡されて、家から徒歩十分ほどの距離にある駅前のスーパ・マーケットへ自転車で買い物に出掛けた。 マンションの駐車場で縄跳びやバドミントンを楽しむ小学生らを横目で見ながらペダル […]
第三百四十四夜   テレワークの拘束時間が終わったら買い物に行かねばと思いつつ、あれやこれやと資料を作っているうちに、夜も九時を回ってしまっていた。 近所に二十四時間営業のスーパ・マーケットがあるのだが、数日前 […]
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