第三百七十五夜   幸いにもテレ・ワークで大半の仕事が片付く職種なのだが、週に一度の出社でしか外へ出歩かなくなって早くも三ヶ月が経った。 運動不足は自覚していたが、先日遂に、 「顔に肉がついたのでは?」 と後輩 […]
第三百七十二夜   着替えやら化粧品やら、一通りの荷物を詰め込むと、スーツ・ケースはそれなりの重さになった。それをゴロゴロと引っ張りながら向かっているのは、残念ながら旅行先ではない。住民票を都に移してしまってい […]
第三百七十夜   ファミリィ・レストランのバイトを始めて初めて迎える金曜の夜、そろそろ土曜になろうかという頃合いに漸く客が引けて一息といったところ、殆ど空車となった駐車場へ黒いワンボックスが入ってきた。 入店し […]
第三百六十九夜   「疫病騒ぎの中、こんな晩くまでお仕事で大変ですね」 と、車を出した運転手がルーム・ミラー越しにこちらを覗いて声を掛けて来た。 「いやあ、この時間でもタクシィを捕まえ易くなって、却って有り難い […]
第三百六十七夜   下校途中、母親から「図書室で本を借りて来なさい」と言われていたのを思い出し、友人達と別れて一人、来た道を走って引き返した。 外で遊べず家でインターネットの動画を見てばかりいると叱られて、 「 […]
第三百六十五夜   仕事帰り、最近やや元気の無い妻に好物のアイスを買って帰宅した。近所での買い物の他はトイレ休憩でだけ車を降りるドライブくらいしか外へ出ていないから、そのストレスを労うという口実で、半分は私が食 […]
第三百六十一夜   事務所で机に向かいカタカタとキィ・ボードを打っていると、「こんにちはー」と語尾の間延びした大声とともに長い茶髪の女性が入ってくる。 仕事上の知り合いで、まだ若いのにこれでもかと派手な服装と化 […]
第三百六十夜   週三日、午前中のみと午後からのみの変則的な登校が始まって間もなく真夏日となり、午後の日盛りにアスファルトを歩いて帰宅すると、三月以来の運動不足ですっかり鈍った身体はへとへとに疲れてしまった。 […]
第三百五十九夜   約束の時間までにどうにか部屋を片付け終えてお茶の用意を済ませると、自分用のマグに淹れた焙じ茶を一服しながらチャイムの鳴るのを待つ。 約束の相手はメーカから紹介された街の電気屋さんである。ケー […]
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