第七百七十三夜    たまの休日に夏物の服を買い込んだ帰り、大きな紙袋を抱えてそのまま帰宅するのも味気なく、ちょっと休憩しようかと喫茶店に立ち寄った。レジでカロリの塊のような飲み物を頼み、小さなトレイに載せて出 […]
第七百六十七夜    二日ぶりにすっきりと五月晴れの空の下、コンクリートに敷いたハンド・タオルの上に腰を下ろす。晴れた日には事務所の入ったビルの屋上でこうして日光浴を兼ねて昼食の弁当を食べるのが私の習慣となって […]
第七百五十八夜    ふと目が覚めると付け放しになっていたTVの画面左上に九時を少し回った時刻が表示されていた。晩酌をしながらうたた寝をしてしまっていたらしい。浴衣にどてらを羽織っただけの姿だったので、まだアル […]
第七百三十六夜    目の疲れが気になって友人に洗面所を借り、コンタクト・レンズを外して眼鏡を掛ける。外した後のこの不思議な爽快感はきっと眼球に酸素の行き渡る感覚なのだろう。  テーブルに戻ると今度は友人が席を […]
第七百三十二夜    丸二年帰省していなかった実家へ久し振りに帰って三日目、ぼちぼち戻る準備を始めなければと思いながら、何となくテレビで正月番組を眺めている父母と姉と一緒に炬燵に入り、自室にあった懐かしい本を読 […]
第七百二十七夜    お客様のお部屋から内線が入ったとフロントから呼ばれた。少し早いが食事が終わったので露天風呂に入るから、その間に夕食の膳を片付けて布団を敷いておいて欲しいとのことだ。  洗い場に声を掛けてか […]
第七百二十四夜    三時限目、本日最期の試験時間が終わって解答用紙を前の席に回し、ようやく隣の席へ、 「その足、どうしたの?」 と声を掛けることが出来た。昨日まで何でもなかった彼女が、今朝のホームルームの始ま […]
第七百二十三夜    試験期間に入って部活がなくなり、帰宅した玄関が明るいのは久し振りだった。玄関ドアのノブを回してそっと引くと、予想通りと言うべきか鍵が開いている。一人のときは施錠をしろと上階にいるだろう妹へ […]
第七百二十夜    夕飯の買い物に出かけようとして、家の前の銀杏並木の落ち葉が気になった。それを掃いていると隣家の車が帰って来る。運転席の旦那さんの後ろのチャイルド・シートに幼稚園の息子さんが座り、その膝に乗せ […]
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