第七百十二夜   ハロウィンの晩、普段よりは早く帰宅した夫を黒いとんがり帽子とマントとで仮装した娘が出迎えると、彼は手に持った洋菓子の箱を笑顔で娘に渡した。帰り際に何かしら買ってくるように言ったのを、珍しく忘れ […]
第七百十夜   秋の長雨がようやく上がった週末、溜まった洗濯物と布団を狭いベランダに干し、圧力鍋に今後数日分の夕飯となる予定のカレーを仕込んで家を出た。普段なら一週間分の食料の買い貯めのための買い物なのだが、今 […]
第七百九夜   実験で帰宅の遅くなった夜、人気のなくなって少々気味の悪い構内を抜け、線路沿いを駅に向かっって歩いているとなんだか周囲の様子が普段と違うのに気が付いた。踏切に差し掛かると、そこへ向かう道に車が渋滞 […]
第七百八夜   電気街でPCのパーツを買ってそろそろ帰宅しようかという折、空がにわかに掻き曇って大粒の雨が落ちてきた。秋分を過ぎて久しいというのにまるで夕立だ。雨具の用意も無く、買ったばかりの荷物を濡らすわけに […]
第七百四夜   仲の良い友人三人と連れ立って、学校見学を兼ねて某理系大学の学園祭にやってきた。案内のパンフレットを手に色々の勧誘を受けながら校舎を歩いていると、お化け屋敷の看板が目に入る。 最先端の科学を学問す […]
第七百三夜   秋分を回って大分暗くなってきた早朝、昨日の雨のためか既に蒸し暑い中を店の裏の倉庫前に立って守衛と世間話をしていると、いつも通り定刻にトラックがやってきた。 守衛の前を離れてトラックを定位置へ誘導 […]
第七百一夜   早朝の取材のため、前日のうちに車で現地入りして宿をとった。 宿といっても露天風呂の楽しめるような高級旅館ではないが、それでも近くの漁港で獲れたての海の幸は絶品で、同行した部下と二人して地酒の一升 […]
第六百九十八夜   秋の大会に向けた合宿から帰ってきた妹が、溜まりに溜まった夏休みの課題を手伝って欲しいとプリントと教科書とを持って部屋を訪ねてきた。と言ってもベッドと勉強机とでいっぱいになってしまう私の部屋で […]
第六百九十三夜   買い物袋を手に帰宅すると、先に帰って夕飯の支度をしていた夫が、 「さっき、義伯父さんから電話があったよ」 とこちらを振り返った。 コンロの前に立つ彼の横で荷物を冷蔵庫に仕舞いながら、オジさん […]
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