第四百九十二夜   深夜頃にはここらも暴風域に入ると聞いて風雨の酷くなる前にとバイトを家に帰す約束をして、滅多に下ろすことのないシャッタを店の大きな窓の半ばまで下ろした。 ここは山中の盆地に田畑の広がる中、比較 […]
第四百八十七夜   九月に入ってから後期の授業が始まるまでの間を選んで、私の所属するサークルでは毎年夏合宿をすることになっていた。 夏の最盛期を過ぎて料金の下がり、人出も少ない平日を中心に宿を借りて、朝から晩ま […]
第四百八十四夜   朝食を終え、茶を飲みながら疫病騒ぎに孫も来ない退屈な盆休みに何をして過ごそうかと考えて、一昨日迎えたばかりのメダカのことを思い出し、餌の容器を片手に小さな庭へ出た。 といって、私の趣味で迎え […]
第四百夜   夏休み中の学校で開かれている水泳の特別授業を終えて帰って来るなり「痛いから見てくれ」と要求し、ワンピースの裾を捲くってこちらに背を向ける娘の尻に、確かに左右二つの大きな青アザが出来ていた。 薬を求 […]
第四百七十六夜   終業式の朝、いつもの時刻にいつもよりずっと軽いランドセルを背負って家を出た。 学校は自宅から駅とは反対方向で、同じ路地に同年代の子が住んでいないから、交差点に出るまでは駅へ向かう大人達とすれ […]
第四百七十五夜   学校の補修から帰宅して直ぐ洗濯機に水を張り、脱いだ衣類を放り込んでそのまま浴室に入った。夏に外を歩くと散歩程度でもシャツを絞れるくらい汗を掻くもので、着替えぬまま過ごしていると生乾きの匂いに […]
第四百七十四夜   一学期末の定期試験を終えた午後の帰宅中、空に黒い雲の広がるのを不安に思っていると案の定、周囲が光ったかと思うと数秒の間を置いて雷鳴と雨粒とが降り掛かってきた。 鞄には折りたたみ傘が入っている […]
第四百七十三夜   知り合いの勤める中古車販売店へ、手頃な車がないかと連絡を入れると、幾つか勉強できるものがあるというので買い物前に訪ねてみた。 乗っている車のバッテリにガタが来て、交換と言ってもそれなりの金額 […]
第四百七十一夜   強制的に始まったOSのアップデートが終わり、漸く仕事に取り掛かれると安心して珈琲を淹れに席を立った。 全く身に覚えはないが、何かの拍子で自動アップデートを許可してしまったのだろう。仕事を始め […]
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