第四百七十一夜

 

強制的に始まったOSのアップデートが終わり、漸く仕事に取り掛かれると安心して珈琲を淹れに席を立った。

全く身に覚えはないが、何かの拍子で自動アップデートを許可してしまったのだろう。仕事を始める前に確認し、無効にしておいたほうがよかろう。ゴポゴポと音を立てる珈琲メーカの前に腕組みをしながらそんな事を考える。

寸胴で大きなマグカップに淹れたての珈琲を注ぎ、溢さぬよう慎重に歩いて席へ戻ると、画面の電源が切れている。何事かと訝しみながらマグをデスクに置いて椅子を引くと、画面がぱっと明るくなる。どうやら勝手にスリープ・モードに入り、マグを置いた振動でマウスの入力が検知されでもしてスリープが解除されたものらしい。

画面を見つめながらじっと考え事をすることも少なくないのでコーヒーを淹れる程度の時間でスリープされては仕事にならぬ。だからスリープは明示的に指示しなければ入らないように設定してあったはずなのだが、アップデートの際に設定が書き換えられたのだろう。これまでもそういうことがしばしばあった。本当に碌なことをしない。デファクト・スタンダードであるせいで多くの取引先が採用してさえいなければ、こんなOSはさっさと切り捨てるのだが……。

内心で悪態を吐きながら設定項目を探し、どうにか自動スリープを無効にし、ついでにこれまで通りキィ操作でスリープに入れるかを確かめると、やはりこれも無効になっていて、溜息を吐きながら設定し直す。

その他にも幾つかの機能を確認し設定をするうちにマグが空になり、キィ操作でスリープさせて席を立つ。画面がしっかり消えていることを確認して離席し、珈琲を淹れて席に戻ってくると、何故か画面が点いている。軽くネット上の情報を漁ってみると、同じ症状に困惑する声が散見される一方、これと言った改善策は未だ見付かっていなかった。

そんな夢を見た。