第八百三十四夜    実家に着いて荷物を置くなり、娘がリュックサックからシロクマのぬいぐるみを取り出して母に差し出す。つい先日のクリスマス会のプレゼント交換で貰ったものらしいのだが、 「中から人間の毛みたいなも […]
第八百三十三夜    出動先から先輩が戻ってきた。労いの言葉を掛けながら彼のマグカップにインスタントの珈琲を淹れて机に置く。手洗いとうがいを済ませた彼はひとこと礼を言ってちびりとっ口を付け、冷えた手でマグを包む […]
第八百二十八夜    北風に肩を窄めながら帰宅して荷物を置き、何はともあれ風呂に湯を張った。北から強い寒気が南下しているそうで、今晩は今季で一番の冷え込みになると朝から予報が出ていた。それなりに着込んで出掛けた […]
第八百二十五夜    バイトを終え、事務所の一角をカーテンで区切っただけのロッカー・ルームへ入り、男性利用中のマグネット付きの札を脇のホワイト・ボードに貼り付けてカーテンを閉めた。制服のシャツを脱いでロッカーを […]
第八百二十二夜    知人と映画を見に行こうと誘われて、即答で断った。どうせ何の予定もないだろうになぜ断るのかと実に余計な一言を加えながら理由を問いながら、彼は不満気に頬をふくらませるが、もちろん可愛気など一切 […]
第八百二十一夜    満員電車の蒸し暑さが嫌で薄着で出掛けたは良いものの、夕方に通り過ぎた前線のお陰で風が急に冷たくなって、帰宅するころにはすっかり体が冷えてしまっていた。電子錠に触れて扉を開けて荷物を置く。リ […]
第八百二十夜    夕食の入ったエコ・バッグを提げ、扉の前でキィ・ホルダを取り出していると、隣の部屋の扉が開いた。音に反応して振り返ると出てきた隣の住人は私に気付いて少々目を見開き、続いて会釈して挨拶を交わす。 […]
第八百十八夜    ここ数日秋の長雨が続いて洗濯物がたまってしまった。顔を洗って直ぐに洗濯機を回し、簡単な朝食を摂る。  一通り洗い物を済ませたところで第一陣の洗濯が終わる。洗濯機から籠へ洗濯物を取り出し、代わ […]
第八百十六夜    取引先でのミーティングを終えて荷物を片付け始めたとき、ふと先日抱いた疑問が頭を過った。  それは今日のミーティングの日時を決めるべく電子メールを送り、その返事が届いたときのことだった。「この […]
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