第八百五十二夜    春休みの宿題も早々に終えて暇をしている娘が本を読む傍らで仕事をしていると、突然部屋が暗くなり、パタパタと雨が窓を叩き始めた。同僚に離席を通知して洗濯物を取り込もうと席を立つと、娘も立ち上が […]
第八百四十九夜    祖父の何回忌だったか、疫病騒ぎもあって暫く振りに帰省した。法事も恙無く終え、雨の軒下で夕食後の一服に煙草を吸っていると、いつの間にケージから出たのか、連れてきた猫が家の灯りにうっすら照らさ […]
第八百四十四夜    内見の後始末を終えて報告書を書き上げた部下が、 「例の部屋、いい加減お祓いとかして貰ったらどうですかね。大家さんを説得して」 と、普段より一段階低い声で提案の態をとった要求をしてきた。その […]
第八百四十一夜    同棲している彼女が仕事から帰ってきて、風呂に入っている間に夕食を作る。葉物野菜の値が漸く落ち着いてきたので、今日はコラーゲンたっぷりの鶏鍋である。  タオルを頭に巻いて上がってきた彼女は鍋 […]
第八百四十夜    一月も半ばを過ぎ冷え込みがきつくなってきたためだろうか、近所の爺さんが亡くなった。小さな町の酒屋――今はコンビニエンス・ストア担っているが――の主人で、息子とは幼馴染で長いこと腐れ縁が続いて […]
第八百三十九夜    成人式、と今は言わなくなったのだったか、とにかく同世代の若者が集まる公的なイベントの日、バイトに入ったカラオケ店は入れ代わり立ち代わりで客が途切れることがなく、フードメニューの一部が底をつ […]
第八百三十四夜    実家に着いて荷物を置くなり、娘がリュックサックからシロクマのぬいぐるみを取り出して母に差し出す。つい先日のクリスマス会のプレゼント交換で貰ったものらしいのだが、 「中から人間の毛みたいなも […]
第八百三十三夜    出動先から先輩が戻ってきた。労いの言葉を掛けながら彼のマグカップにインスタントの珈琲を淹れて机に置く。手洗いとうがいを済ませた彼はひとこと礼を言ってちびりとっ口を付け、冷えた手でマグを包む […]
第八百二十八夜    北風に肩を窄めながら帰宅して荷物を置き、何はともあれ風呂に湯を張った。北から強い寒気が南下しているそうで、今晩は今季で一番の冷え込みになると朝から予報が出ていた。それなりに着込んで出掛けた […]
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