第四百七十五夜

 

学校の補修から帰宅して直ぐ洗濯機に水を張り、脱いだ衣類を放り込んでそのまま浴室に入った。夏に外を歩くと散歩程度でもシャツを絞れるくらい汗を掻くもので、着替えぬまま過ごしていると生乾きの匂いに包まれるのだ。

風呂を上がって髪を乾かし終わる頃には洗濯物の脱水が終わっており、陽の残っているうちに乾かしてしまおうとピンチ・ハンガに洗濯物を吊るす。

洗濯ネットのファスナを開けて下着類を挟んでいると、妙なことに靴下の片方がない。学校指定の紺色のもので、入浴前にネットに入れたはずだ。念の為に洗濯槽の中を見てもそこは空っぽだし、帰宅してから通った玄関にも居間にも自室にも見当たらない。

首を捻りつつも無いものは仕方がない、西陽の当たるベランダの物干し竿ににハンガを吊るして自室に戻り、扇風機に当たりながら補修の復習を始める。

暫くすると買い物にでも出掛けていたらしい両親が帰宅したので、ついでに飲み物でも用意しようかと部屋を出て出迎えると、
「貴女、最近はいつ車に乗った?車に靴下を脱ぎ忘れていった覚えなんてある?」
と、靴下を片手に怪訝な顔をして母が尋ねる。

曰く、出掛けには全く気が付かなかったのだが、買い物を終えて荷物をトランクに仕舞おうとしたところそこに片方だけ転がっていたそうだ。冷蔵庫に食品を詰め込みながら話を聞いていた父が、
「靴下のテレポートする瞬間に履いてたら、体ごとトランクの中だったのかな」
と疑問を呈して一人で笑った。

そんな夢を見た。