第五百二十九夜   「ああ、そうそう、これ持って行って。で、店の裏口を出たところで使ってから帰ってな。ゴミはそこらに捨てたら駄目よ」 と渡されたのは、名刺の四分の一ほどの大きさの長方形の袋だった。よく見れば紙の […]
第五百二十八夜   陽光が目に刺さって目を覚ますと、全身に軽い痺れのような感覚が有った。筋肉痛の先触れのような、こむら返りのおさまった後の疲労感がまだ筋肉に残っているような感覚だ。 はて、昨夜はそんな風になるま […]
第五百二十五夜   疫病騒ぎもそれなりに落ち着いているからと彼氏に誘われて、有名な神社の最寄り駅で待ち合わせをした。 待ち合わせ場所に着くと、予定時刻の十分前だというのに珍しく彼が先に到着していて、肩を窄め、缶 […]
第五百二十三夜   初詣ついでに新年最初の買い物に出掛けようと、簡単に着替えて上着を羽織った。 その胸の内ポケットに長財布を差し込もうとして、クシャリと何か硬い紙を押す手応えがある。週末の度に何枚かあるコートを […]
第五百二十一夜   年明け後が締め切りの仕事を年内に片付けてしまおうと、炬燵に電気ポットと甘い物を用意して、ノートPCに向かって作業を始めたのは夜中の十一時頃だった。 疫病騒ぎは数字の上では治まったようだが、マ […]
第五百二十夜   年明け後が締め切りの仕事を年内に片付けてしまおうと、炬燵に電気ポットと甘い物を用意して、ノートPCに向かって作業を始めたのは夜中の十一時頃だった。 疫病騒ぎは数字の上では治まったようだが、マス […]
第五百十九夜   「こちらをご覧頂けますか?」 と警官が差し出したタブレットに表示されていたのは、ブルーシートに乗せられたどなたかのご遺体だった。 肩まで伸びる黒髪も、まだ真新しい上下のパンツ・スーツもずぶ濡れ […]
第五百夜十八   疫病騒ぎが落ち着いて、遂にとあるバンドの生ライブが行われることになった。 是非一緒に見に行こうと、同性の友人へ連絡を入れて返事を待ちながら、まだチケットも取れるかどうかわからないのに、浮かれた […]
第五百十一夜   緊急事態宣言が解除されて間もなく、兄から合同コンパ、というよりはもう少し真面目なお付き合いを前提としたパーティのメンツを集めてほしいと、先輩から連絡が来た。 ここ暫くはそういうこともなかったが […]
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