第五百五十三夜   買い物袋を提げての帰宅途中、自宅まで最後の角を曲がって驚いた。自宅の前に警察車両が停まり、制服警官が交通整理を行っている。 何事かと足を速めて近付くと、ブロック塀に運送会社の大型トラックが突 […]
第五百四十六夜   アルバイト先のバックヤードに、妙なところがあった。 カウンタから裏に入ると細長い事務所があり、その先に更衣室があるのだが、その扉は全開状態で固定され、扉の枠にレールを取り付けてカーテンで仕切 […]
第五百四十四夜   立つ鳥跡を濁さずの高潔な精神の持ち主というわけではないけれど、一度始めてしまえば単純作業もさほど苦に感じぬ質なもので、三月中に引き上げる部屋の大掃除に取り掛かると、家具の陰になっていたような […]
第五百四十夜   「ようやく春らしい陽気に恵まれるでしょう」との気象予報士の言葉を信じ、朝食を済ませて直ぐ一週間の洗濯物をやっつけてベランダに干すと、ここのところ続く窮屈な日常の息抜きにとドライブに出掛けた。 […]
第五百三十九夜   早番の勤務を終える十分前、いつも通りに遅番の者とフロント業務の引き継ぎをしていると、その脇で電話が鳴った。 その呼び出し音の音色でそれが内線だとわかり、最も子機に近い私が反射的に受話器を取る […]
第五百三十七夜   スマート・フォンから試験時間の終了を知らせるタイマが鳴って、椅子の上で両拳を突き上げて背筋を伸ばした。塾の先生からは時間を掛け過ぎずに解けるようになれば高得点を狙えるのでその練習をしろと言わ […]
第五百三十六夜   晩酌をしながらだらだらとネット配信のニュースを見ていると、動画配信サービスで冬場の恐怖映画特集なるものが開催されているとの広告が目に入った。 酔いが回る前にシャワを浴び、食卓兼万年床の炬燵に […]
第五百三十四夜   早朝、朝日の照らす海が綺麗だと子供に起こされテントを出る。 小学校低学年で好奇心の塊のような弟に引き摺られ、海を見下ろす崖へと出ると、元々が低血圧の気のある姉が、父母のキャンプ趣味に付合わさ […]
第五百三十二夜   風呂から上がり、濡れた身体をタオルで拭きながら晩酌のツマミに何を作るか、冷蔵庫の中身を思い出しつつシミュレートしているうち、 「しまった」 と思わず独り言ちた。ちょうど昨晩、買い置きの酒を切 […]
最近の投稿
アーカイブ