第五百四十六夜

 

アルバイト先のバックヤードに、妙なところがあった。

カウンタから裏に入ると細長い事務所があり、その先に更衣室があるのだが、その扉は全開状態で固定され、扉の枠にレールを取り付けてカーテンで仕切られている。狭い空間を出来る限り有効に使うためといえば聞こえはいいが、壁面を棚で埋め尽くして尚、収納が足りず、扉の開閉するスペースさえ無駄にできないのだ。

勿論、それだけなら単に雑然と舌事務所というだけなのだが、そのカーテンの手前、本来なら開閉する扉の通過する辺りが妙なのだ。

流石に人の動線となっている空間だから、床に何かが置かれているわけではないのだけれど、皆何かを跨ぐように高く脚を上げてそこを通るのだ。

出勤のタイムカードを押していると、ちょうど更衣室のカーテンが開き、バイト仲間の一人がやはり何かを跨ぐように、少しバランスを崩してよろけながら現れる。

互いに挨拶を交わしてから、つい気になって、一体皆何を跨いでいるのかと尋ねてみると、
「え、私そんなことしてますか?皆変なことしてるなぁとは思っていましたけれど」
と目を丸くして言う。

その「皆」の中に私は含まれているのかと問うと、ええ勿論と眉を八の字にして頷くのだった。

そんな夢を見た。