第七百十夜   秋の長雨がようやく上がった週末、溜まった洗濯物と布団を狭いベランダに干し、圧力鍋に今後数日分の夕飯となる予定のカレーを仕込んで家を出た。普段なら一週間分の食料の買い貯めのための買い物なのだが、今 […]
第七百八夜   電気街でPCのパーツを買ってそろそろ帰宅しようかという折、空がにわかに掻き曇って大粒の雨が落ちてきた。秋分を過ぎて久しいというのにまるで夕立だ。雨具の用意も無く、買ったばかりの荷物を濡らすわけに […]
第七百六夜   趣味のボウリングにふらりと出掛け、幸いというべきか予想通りというべきか顔見知りの一団を見付けた。彼らのゲームが一区切り付くのを、ホット・スナックを肴に軽く飲みながら待っていると、これまた顔見知り […]
第六百九十八夜   秋の大会に向けた合宿から帰ってきた妹が、溜まりに溜まった夏休みの課題を手伝って欲しいとプリントと教科書とを持って部屋を訪ねてきた。と言ってもベッドと勉強机とでいっぱいになってしまう私の部屋で […]
第六百八十一夜   夕立の気配のしてきた空を眺めながら家の中へ早く支度をして出てくるように声を掛けると、両手に荷物を持った娘がバタバタとやってきて助手席に乗り込んだ。 後に続いて運転席に座ると、彼女は膝に乗せた […]
第六百六十六夜   私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさん […]
第六百六十三夜   通勤電車で事務所の最寄り駅のロータリにあるバス停へ並ぶと、同僚の一人がその列に並んでいた。 おはようと声を掛けると、彼女は何やら難しい顔をして暫く黙った後、 「先輩は、卵酒って飲んだことあり […]
第六百二十六夜   草木も眠る丑三つ刻というのも今夜ばかりは例外で、疫病騒ぎの薄さくなる以前であれば、地元の小さな神社でもその周辺は二年参りの客でそれなりに賑やかになるのが常だった。 今年も念の為に人混みを避け […]
第六百十八夜   定期試験の最終日、試験後のホームルームで担任が、五名ほどアルバイトを雇いたいというので立候補した。在校生の定期試験の終わった明日からは中等部の推薦入試が始まるそうで、そのために各教室の机を運び […]
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