第五百九十夜   自然に囲まれた山の中の祖父母の家での生活も、夏休みが終わりに近づく頃には流石に少々飽きが来ていた。 蝉の声を聞きながら、居間の炬燵卓で本を読む。盆休みに顔を出した父を祖父の車で街の駅まで送った […]
第五百八十三夜   梅雨の戻りというのだろうか、暫く続いた雨が漸く止んで一転真夏の日差しとなった日の晩、そろそろ明日の仕事に差し支えるからと日課のジョギングに出た。外に出ると、地面が溜め込んだ水分が昼に温められ […]
第五百八十二夜   子供達が夏休みに入って最初の金曜深夜、妻の実家へ高速道路を走っていた。夜の高速道路はその退屈な眺めと程よい走行音の子守唄とで、どうしても眠気が襲ってくる。 幾度目かの生欠伸を噛み締めて涙を拭 […]
第五百八十夜   数日降り続いた雨から一転して猛暑日となった日の深夜、あまりの蒸し暑さに体が火照って目が覚めた。節電のため適当な時間で冷房が切れるようにタイマを設定していたのが仇となったか。 布団には湿気ととも […]
第五百七十七夜   陽がすっかり上ると、友人のクーラー・ボックスにも私のものにも釣果はなかなか増えなくなった。幸いまだ薄暗い朝マヅメのうちに目当てのアジも幾らか釣れていたため、ぼちぼち撤収の運びとなる。 友人の […]
第五百六十八夜   配送から帰ってきた新入りのドライバが、駐車場に車を停めるなり顔を真っ青にして事務所へと駆けて行った。 ――ああ とちょっとした予感がする。手元の仕事に一区切りを付けてから、事務所へと様子を見 […]
第五百五十六夜   季節外れの台風が直撃するとの予報が出て、今日は朝から倉庫やらの風害対策をし、仕事は日暮れ前に引き上げることになった。 台風から続く雲が長雨を降らせる中をちょうど子供達が下校中で、色鮮やかな傘 […]
第五百四十八夜   モニタと、その脇のブックス・タンドに置いた書類とを見比べながらキィを叩きつつ、ふと傍らに置いたマグカップを眺めると既に珈琲が底を突いていた。 切りの好いところまで終わったら一休みすることにし […]
第五百三十六夜   晩酌をしながらだらだらとネット配信のニュースを見ていると、動画配信サービスで冬場の恐怖映画特集なるものが開催されているとの広告が目に入った。 酔いが回る前にシャワを浴び、食卓兼万年床の炬燵に […]
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