第二百十七夜   病院のロビィに飾られた観葉植物の脇に立ち、スマート・フォンを弄っている。 別にどこが悪いのでもない。寧ろ今のところは全くの健康体であって、診察に訪れている人達からウイルスなりを貰わぬうちに退散 […]
第二百十六夜/h3>   排気ガスを浴びながら、深夜の街道沿いを歩いている。部下に相談があると請われて閉店間際まで酒と愚痴とに付き合わされた帰り道だ。部下は晩くまである公営鉄道の最終電車に間に合ったが、こ […]
第二百十三夜   買い物を終え、昼食に何を作ろうかと考えながら海岸線の道を走っていると、前方の磯にちらちらと動くものがある。 少し近付いて、どうやら青い上着を着た子供のようだとわかるが、他に誰の姿もない。 この […]
第二百三夜   祖父に呼ばれて隣県の父の実家に帰った。じきに年末年始の休みだから短いなりに戻れると言っても、急用だからといって聞かない。子供の頃から可愛がられ、父が死んでからはいっそう気を回してくれるものだから […]
第百九十八夜   解体業者の友人に頼まれ、県外の古い平屋へバンを駆ってやって来た。 間の悪いことに若い作業員が骨を折ったり、親戚に不幸があったりで都合が付かず、手伝いを頼まれたのだ。 その代わり、所有者の残して […]
第百九十七夜   休み時間の終わり際、子供達を教室へ戻るよう促しながら受け持ちの教室へ向かっていると、廊下の突き当りの扉の向こうからこちらを覗く子供の姿が見えた。 突き当りにはアルミニウムの枠に上半分がガラス張 […]
第百九十六夜   娘達二人の七五三の写真が仕上がったと言う連絡とともに、近所の写真館から光学ディスクが送られてきた。きれいに製本した小さなアルバムを作るサービスを利用したのだが、実際に仕上がるまでのツナギにデジ […]
第百九十三夜   連休前、比較的早い時間に仕事が片付いて安アパートへ帰宅できた。 肩に掛けた鞄の中の鍵を手で探りながら、蛍光灯の照らす共用廊下へ入ると、私の部屋の前に中年の男女が立っていて、ヒールの音にこちらを […]
第百八十六夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、新しい都市伝説、仕入れちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿の […]
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