短編 Archives - 46ページ目 (56ページ中)

第二百三十四夜患者の容態が安定し、ほっと胸を撫で下ろしてナース・ステイションで一息吐く。お茶を啜りながら、「先刻はどうして……？」と、保留していた疑問を先輩看護師に投げかかける。小一時間前のこと、ナ […]

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第二百二十九夜

橘偲 -

3月 10

第二百二十九夜帰りの会が終わってランドセルを片手に席を立つと、後ろの席の女子から呼び止められた。続々と教室を出て行く級友達を早く追いかけたいが、一体何の用かと問うと、卒業式の後、謝恩会で弾くピアノの練習 […]

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第二百二十八夜

橘偲 -

3月 7

第二百二十八夜大きな一枚板の食卓のある部屋で座布団を勧められた。少しふっくらとした体型の女性が、「こんな田舎まで来て一日船の上でお疲れでしょうに、特別なおもてなしも出来なくて」と申し訳無さそうに茶を差 […]

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第二百二十七夜

橘偲 -

3月 3

第二百二十七夜フクロウの石像を背に立って文庫本を開きゼミの友人を待っていると、 ――チリリ、チリリ周囲の喧騒の中で妙に目立つ鈴の音に気付いた。声量は大きくないのによく通る声というものがあるのと同じような […]

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第二百二十五夜

橘偲 -

2月 24

第二百二十五夜暇に任せてカウンタの裏に出した椅子に座って雑誌を読んでいると、店の外からＬＥＤの強い光が目を刺した。駐車場に目を遣ると、見慣れぬ銀色の乗用車が入ってくるのが見える。椅子と雑誌を事務所へ片付 […]

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第二百二十四夜

橘偲 -

2月 21

第二百二十四夜雨が降って少なかった客も帰ってこれ以上の客も来なかろうと、少々早いが店仕舞いを始めた。夜食用に水を張った小鍋を火に掛け、レジスタを開けて有線放送を聞きながら札を数えて纏める。紙幣を片付け […]

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第二百十八夜

橘偲 -

1月 31

第二百十八夜恐怖の余り、クローゼットの前に立ち尽くしていた。不思議なことに、あるいは極めて不公平なことに、こうした不思議な現象、それによって惹き起こされる恐怖に出会い易い体質と、そうでない体質とがあるら […]

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第二百十七夜

橘偲 -

1月 27

第二百十七夜病院のロビィに飾られた観葉植物の脇に立ち、スマート・フォンを弄っている。別にどこが悪いのでもない。寧ろ今のところは全くの健康体であって、診察に訪れている人達からウイルスなりを貰わぬうちに退散 […]

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第二百十六夜

橘偲 -

1月 24

第二百十六夜/h3> 排気ガスを浴びながら、深夜の街道沿いを歩いている。部下に相談があると請われて閉店間際まで酒と愚痴とに付き合わされた帰り道だ。部下は晩くまである公営鉄道の最終電車に間に合ったが、こ […]

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