第四百六十六夜   御茶ノ水の病院からの帰途、橋から見下ろすホームに人が犇めき合っているのが見えた。改札前も黒山の人だかりで、拡声器のアナウンスで漸く、人身事故で電車が止まっていると知れた。 友人の見舞いだった […]
第四百六十四夜   早朝、事務所の駐車場に着くと、既に昨日見た黒いワンボックス・カーが停まっていて、こちらが車を停めている間に中から金色のソバージュ男が現れた。デニムのダメージ・パンツに黄色いTシャツ、黒革のベ […]
第四百六十三夜   買い貯めした向こう一週間分の食料品を両手に提げて量販店を出ると、予報に反してにわか雨が路面を濡らしていた。 傘は持っていないが、両手の塞がっている以上濡れて歩くことには変わりないので濡れて帰 […]
第四百五十八夜   「珍しい物が手に入ったから見せたい」。 そんなメッセージで友人に呼び出されて学食のテラス席へ向かうと、とうに食事を終えた友人二人が荷物を置いた席を挟んで談笑しているところだった。一人は私を呼 […]
第四百五十夜   早朝に校庭へ集まって十数分経った頃、出掛けに父の予言したとおりに雨が降り始め、皆急いで荷物を手に手に、大きな庇に守られた昇降口へ避難する。とても通り雨といった様子でなく、西の空にも低い灰色の雨 […]
第四百四十九夜   借りてきた本の頁を夢中になって捲っているうち、いつの間にか雨はすっかり止んでいた。 本に栞を挟んで手提げに仕舞って自転車の前籠に入れ、サドルの下に挟みっぱなしのタオルで濡れたサドルとハンドル […]
第四百四十八夜   緊急事態宣言が解け、久し振りに社会人サークルの仲間でキャンプ場に集まった。陽の落ちる前に作った夕食を平らげ、持参したアルコールを飲みながら洗い物を済ませると火を囲みながら談笑をして過ごし、さ […]
第四百四十七夜   「ちょっとトイレ」 と宣言して映画の再生を止めてもらって席を立った。午前中に買い物に出たときにはよく晴れて風もない行楽日和だったが、このご時世ではなかなか行楽という気にもならず、午後はこうし […]
第四百十八夜   大晦日も午後の十時を回り、店番を妻に任せて出前先の食器の回収に出る。 夕方から配達して回った出前先のリストを持って軽自動車に乗り込み、エンジンを暖気しながらカー・ラジオを点けると、毎年聞き慣れ […]
最近の投稿
アーカイブ