第四百六十三夜   買い貯めした向こう一週間分の食料品を両手に提げて量販店を出ると、予報に反してにわか雨が路面を濡らしていた。 傘は持っていないが、両手の塞がっている以上濡れて歩くことには変わりないので濡れて帰 […]
第四百五十八夜   「珍しい物が手に入ったから見せたい」。 そんなメッセージで友人に呼び出されて学食のテラス席へ向かうと、とうに食事を終えた友人二人が荷物を置いた席を挟んで談笑しているところだった。一人は私を呼 […]
第四百五十夜   早朝に校庭へ集まって十数分経った頃、出掛けに父の予言したとおりに雨が降り始め、皆急いで荷物を手に手に、大きな庇に守られた昇降口へ避難する。とても通り雨といった様子でなく、西の空にも低い灰色の雨 […]
第四百四十九夜   借りてきた本の頁を夢中になって捲っているうち、いつの間にか雨はすっかり止んでいた。 本に栞を挟んで手提げに仕舞って自転車の前籠に入れ、サドルの下に挟みっぱなしのタオルで濡れたサドルとハンドル […]
第四百四十八夜   緊急事態宣言が解け、久し振りに社会人サークルの仲間でキャンプ場に集まった。陽の落ちる前に作った夕食を平らげ、持参したアルコールを飲みながら洗い物を済ませると火を囲みながら談笑をして過ごし、さ […]
第四百四十七夜   「ちょっとトイレ」 と宣言して映画の再生を止めてもらって席を立った。午前中に買い物に出たときにはよく晴れて風もない行楽日和だったが、このご時世ではなかなか行楽という気にもならず、午後はこうし […]
第四百十八夜   大晦日も午後の十時を回り、店番を妻に任せて出前先の食器の回収に出る。 夕方から配達して回った出前先のリストを持って軽自動車に乗り込み、エンジンを暖気しながらカー・ラジオを点けると、毎年聞き慣れ […]
第四百十七夜   クリスマスの早朝、白い息を吐きながら荷台に酒を積み終えると、いつものルートでいつもの配達に出掛ける。 凛と冷えて静かな街にトラックを走らせ、お客から預かった鍵で無人の店舗へ荷物を搬入し、回収す […]
第四百十六夜   ここ三ヶ月の間に、気付けば七キロ程も体重が増えていた。自分の体重に対して十パーセント、太り気味の飼い猫丸一匹よりも大きな質量が、腹やら尻やらに蓄えられたことになる。 仕事を終えての帰り道、途中 […]
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