第四百七十七夜   疫病騒ぎで思うように会って遊ぶことの出来ない夏休みの夜、クラスの有志十人程でメッセージ・アプリを使って百物語の真似事をした。もちろん十人で百話も語るのは無理だから、それぞれ一話ずつだったが、 […]
第四百七十六夜   終業式の朝、いつもの時刻にいつもよりずっと軽いランドセルを背負って家を出た。 学校は自宅から駅とは反対方向で、同じ路地に同年代の子が住んでいないから、交差点に出るまでは駅へ向かう大人達とすれ […]
第四百七十四夜   一学期末の定期試験を終えた午後の帰宅中、空に黒い雲の広がるのを不安に思っていると案の定、周囲が光ったかと思うと数秒の間を置いて雷鳴と雨粒とが降り掛かってきた。 鞄には折りたたみ傘が入っている […]
第四百七十三夜   知り合いの勤める中古車販売店へ、手頃な車がないかと連絡を入れると、幾つか勉強できるものがあるというので買い物前に訪ねてみた。 乗っている車のバッテリにガタが来て、交換と言ってもそれなりの金額 […]
第四百七十一夜   強制的に始まったOSのアップデートが終わり、漸く仕事に取り掛かれると安心して珈琲を淹れに席を立った。 全く身に覚えはないが、何かの拍子で自動アップデートを許可してしまったのだろう。仕事を始め […]
第四百七十夜   「ほいこれ、今日中に回ってね」 と笑顔の社長が差し出した紙袋には、A3のバインダが一つと大量の線香の束、日本酒のガラス・カップ十数本、そして商売繁盛で有名な神社の御札が入っていた。 最後に社用 […]
第四百六十八夜   大浴場から戻ると、火照った身体を冷やすべくビールと適当なツマミを内線で頼み、一人旅には余りに贅沢な部屋を見渡す。ワクチンの接種が進んだとはいえ時期でもない平日のこと、リモート・ワークを旅先で […]
第四百六十六夜   御茶ノ水の病院からの帰途、橋から見下ろすホームに人が犇めき合っているのが見えた。改札前も黒山の人だかりで、拡声器のアナウンスで漸く、人身事故で電車が止まっていると知れた。 友人の見舞いだった […]
第四百六十四夜   早朝、事務所の駐車場に着くと、既に昨日見た黒いワンボックス・カーが停まっていて、こちらが車を停めている間に中から金色のソバージュ男が現れた。デニムのダメージ・パンツに黄色いTシャツ、黒革のベ […]
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