第二百十五夜   深夜、麻雀に一区切りが付いたところで夜食を挟むことになった。 点数の最も沈んでいるものが近所のコンビニエンス・ストアへインスタント食品の買い出しに、二番目の私が湯を沸かして待機する役回りだ。 […]
第二百十三夜   買い物を終え、昼食に何を作ろうかと考えながら海岸線の道を走っていると、前方の磯にちらちらと動くものがある。 少し近付いて、どうやら青い上着を着た子供のようだとわかるが、他に誰の姿もない。 この […]
第二百十二夜   珍しく定時に職場を出て帰宅し、鞄からキィ・ケースを取り出していると、家の中からジリリリリと、けたたましい金属音がする。火災報知器の類の、金属の皿を短い間隔で叩くようなベルの音で、玄関から入って […]
第二百十一夜   正月最初の週末の夜道はいつもに増して人気が無い。新年会からの帰途を独り歩く私の酒に火照った頬や首筋を、空気が冷たく撫でる。 暫し歩いてアパートの入口へ着くと自動販売機でスポーツ・ドリンクを買い […]
第二百十夜   大人達が年を越しても酒盛りを続ける居間から廊下を挟んだ客間に、独り布団を敷いて横になっている。枕の変わると寝付けぬ質で、それでもどうにかうつらうつらし始めたとき、瞼の向こうがぱっと明るくなった。 […]
第二百九夜   仕事柄、初売りの三ヶ日は寝食の暇もない。それでも三年目となると要領が掴めているので、大掃除や衣食の用意を前倒しにすることで少しでも本番に余裕を持たせる策を講じられるようになった。 それでも天候の […]
第二百七夜   雪の降る前に、今年最後の山登りをしようと出掛けてドジを踏んだ。斜面を大きく滑落して腰を打ち、谷の小川の岸で身動きが取れない。万一を考えて数日分の食料と寝袋とは用意してあるが、登山道から大きく外れ […]
第二百六夜   明朝の会議で配布する資料を作り終え、手元に印刷した書類をコピー機にセットして給湯室へ向かう。事務所に独り居残るときは暖房を付けずに厚着で誤魔化すのが昔からの癖になっているので、複写を待ちながら冷 […]
第二百四夜   南の出身なもので、冬の日本海側をドライブしたいと安易に思ったのがいけなかった。 嫁の実家へ帰省するのに、手間だからよせと言うのを押し切ってスタッドレスタイヤに履き替えて車で向かうことにしたのだが […]
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