第二百四十一夜

 

定時巡回を終えて守衛室に戻ると、雑誌を前にカップ麺を啜っていた先輩が「ご苦労さん」と労ってくれた。

懐中電灯と制服の帽子を棚に起きながら、センサに反応もないのに見回りに出ることに意味はあるのかと愚痴を零すのをまあまあと宥められ、
「何か変わったことは?」
と、いつものように尋ねられる。そう言われても特に何も無い、いつも通りと答えようとして、ふと思い出した。
「そういえば、マネキン倉庫の前がやけに生臭かったですね。下水管でも腐食して漏れてたりするんでしょうか」。

窓口前の椅子に腰を下ろしながら報告する私に、先輩はカップ麺の汁を啜りながら、「ああ、アレか」と呟いて、
「異状は臭いだけだったか?」
と尋ねるので肯定する。
「なら、たまにあるから気にするな」
と言うのだが、何か含みのあるのが気になって、
「たまにじゃないと、どんな事があるんですか」
と尋ねる。丁度食事の済んだ先輩は、胸の前に両手をぶらりと下げてみせる。
「もう何十年も前から、ここはコレが出るって話でな。この間も、来たばかりの新人が辞めていったろう?気持ち悪かったら……」
と部屋の奥の神棚を振り向き、
「酒を変えて、拝んどくと良い」
と口角を上げた。

そんな夢を見た。