第七百八十六夜    前期日程も残すところ僅かとなって、帰省の日程を相談しようと母にメッセージ・アプリで連絡をした。時間のあるだろうタイミングを見計らった甲斐あって直ぐに返事が来るが、暇ならたまには声を聞かせろ […]
第七百八十四夜    卓上扇風機から送られてくる生暖かい風でせめてもの涼をとりながら、一向に減らない期末試験の答案用紙に赤ペンを入れていると、いつの間にやら傍らに置いたグラスの麦茶が消えていた。席を立って給湯室 […]
第七百八十二夜    夕食の時刻を回っても戻らないお客様がいるとのことで、お戻りになられたら直ぐにでも気が付くように外に出て、掃き掃除のフリでもしてソウスを見るようにと女将さんにいわれて外に出た。  今日は梅雨 […]
第七百八十一夜    教室棟入口の扉の前、長く張り出した庇というよりは洋風のポーチというべきか、兎に角雨のしのげる場所に辿り着いて傘の雨を払う。重い木製の扉を肩で押し開けると、例年より遅れた梅雨入のためか梅雨寒 […]
第七百七十九夜    昼食時を少し過ぎ、出勤している社員の皆で職場近くの少しだけ高級なご飯屋さんへぞろぞろと向かいながら、 「今年は梅雨入りが遅くてもう大分暑いから、夏バテしないように精のつくものを頼んで下さい […]
第七百七十八夜    路傍に立つ警官に交通規制の詳細を尋ね、礼を言って窓を閉めながらアクセルを踏むと、 「凄い人出ですね」 と助手席から声を掛けられた。 「私も地元出身じゃないのであまり良くわかっていないんです […]
第七百七十七夜    同僚が右目に眼帯をして出勤をするようになって二週間が経った。始めは特に気にしてもいなかったのだが、モノモライというのはこんなに長引くものだったろうかと気になって、昼休みの暇に、 「目は、ま […]
第七百七十五夜   「よし、それじゃあ皆で美味しいカレーを作って、お母さん達をびっくりさせよう!」 と張りのある声が炊事場に響いて、私を含む五人の子供達が事前に割り振られた仕事を始める。私はカレーの担当で、当面 […]
第七百七十四夜    先生が教室に入ってくるまで数分の時間潰しのつもりで朝読書に持参した本を読んでいると、しばらく熱中したところで引き戸が開いて先生が入ってきた。顔を上げるとジャージ姿の先生の上の壁掛け時計はい […]
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