第三百十九夜   正月気分も抜け、年度末へ向かう慌ただしい日常生活に戻ってしばらくしたある夜、いつものジャージにいつものシューズを履いてジョギングへ出掛けた。 家から最寄り駅の方へ二分も走ればそれなりに整備され […]
第三十八百夜   夜勤明け、通勤ラッシュを逆行して最寄り駅を下り、チェーン店の朝食メニュを平らげて帰途に就いた。 店内の暖気に慣れた体に吹く風に首をすくめながら、洗濯機、風呂、部屋干し、寝る、と帰宅後の段取りを […]
第三百十六夜   「どうしたの」 と隣の机から同僚に声を掛けられて、口を突いて出た言葉は、 「いや、携帯電話がそこの充電スタンドにあったものだから、びっくりして」 というものだった。 全く要領を得ない私の返答を […]
第三百十二夜   ファミリ・レストランとして最も忙しくなる夕食時が終わり、尻の長いお客が甘いものを追加してお喋りを楽しんでいるくらいで、片付けも注文聞きも暇になったタイミングで、 「あそこって、どうしてオレンジ […]
第三百八夜   アルバイトを頼んでいる子達のシフトの都合が上手く付かず、深夜から朝までの店番の後、六時間だけ休憩を挟んで昼からもう一度店に入らなければならなくなった。自宅はすぐ近いとはいえ、時間が短いので帰宅し […]
第三百七夜   部活の朝練習を終えてジャージ姿で教室へ駆け込んだのは、ホームルームの始まって二分ほど経過したところだった。顧問が時間にだらしなく、後片付けを担当する一年生が始業時刻に間に合わないのはいつものこと […]
第三百六夜   週に二度の買い出しのため、海風に車体を煽られながら軽自動車を走らせる。 もう何年も通り続ける道の両側は、しかしずっと殺風景なままだ。どうせ交わる車もない交差点の赤信号に掴まって車を停め、カー・ラ […]
第三百五夜   気が付くと、青白い蛍光灯の光る白い部屋に仰向けに寝かされていた。 腕には点滴の針が刺さり、ズボンのベルトとボタンとは外されており、顎を引いて体を見ると、初めて見る灰色のトレーナを着せられている。 […]
第三百四夜   昼の休憩時間になって、同じ部署の数人で連れ立って近所の定食屋に入った。 水を貰って一同メニュを眺めていると、唯一の後輩が紙ナプキンにボールペンで何やら文字を書き、 「文字は見ないで置いて下さい」 […]
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