第三百九十二夜   冷たい風の吹くようになった帰宅途中、住宅街にあるコンビニエンス・ストアへ立ち寄って週刊誌と晩酌のツマミを籠に入れてレジスタへ向かうと、中学の同級生が立っていた。 ここは元々酒屋の持ちビルで、 […]
第三百九十一夜   上下ともに最終列車が発車して、客の残っていないのを確認してからプラットホームの清掃を始めた。 以前に比べ乗客は戻りつつあるが、深夜に泥酔して来る者ははっきりと少ないままだ。店で飲む分を車中で […]
第三百九十夜   運動不足の解消にとジョギングを始めて早三ヶ月が経ち、そろそろ風景にも飽き、涼風も立ち始めたので、少しばかり距離を伸ばそうかと思い立った。 夕飯の片付けを終えて着替えると、スポーツ飲料を水筒に入 […]
第三百八十九夜   始業のチャイムを待つ教室は、毎朝の例に漏れずお喋り好きの連中の声でざわめいていた。 ただ、賑やかかといえばそうではない。皆、周りの耳を憚るように声を潜め、それでも話さずにはいられないひそひそ […]
第三百八十七夜   通り雨が止んだのを見計らって、具合が悪いと寝込んだ妻のメモを頼りに買い物に出掛けた。 入念にメモを確認して買い忘れの無いことを確認して店を出ると、夕陽が雨を蒸発させて風が粘つく。先程まで生鮮 […]
第三百八十六夜   深夜、僅かなタクシィとトラックの他には通るもののほとんど無い幹線道路に自転車を走らせて日暮里駅の東側に着くと、シャツもズボンもすっかり汗で湿っていた。 九月のこの時間でもまだ湿った熱気が澱の […]
第三百八十五夜   終業時刻を迎えて多くの教員が帰宅する中、私を含む数人が職員室に居残った。 夏休み明けの試験の答案を採点しデータベースに入力する作業がまだ残っている。急ぎの仕事ではないのだが、個人情報云々がう […]
第三百八十四夜   九月になっても、大学生の夏休みは終わらない。疫病騒ぎでスケジュールは随分と変わったけれど、実験機材の不要な授業がオンラインに切り替わり、提出課題が増え、代わりに学生同士の接触の機会が減ったく […]
第三百八十三夜   このご時世で勤め先が無くなって、それでも伝を辿ってどうにか不動産屋に拾ってもらい、二週間ほど仕事を教えてもらった後、盆は「休み中に覚えておけ」と出された宿題を慣れないながらどうにかこなすのに […]
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