第三百五十八夜   就職先で非常事態宣言が終了し、友人宅へ集まって久し振りに酒盛りをすることになった。 交通の便の良いところが好ましいと誰かが言い出し、それならと名乗り出た者の最寄り駅に集まると、彼は駅前の広場 […]
第三百五十七夜   友人の経営する山の中のペンションに着くと直ぐ、彼の奥様の手作りというチーズ・ケーキで珈琲を飲みながら簡単な打ち合わせをした。 大型連休を疫病のために棒に振ったから、ここで何とか巻き返すために […]
第三百五十六夜   テレ・ワークの要請を受け、ウチの部署では責任者以外が週に一度、曜日と午前午後とを分けてばらばらに出社、それ以外は自宅での在宅勤務という具合に規則が決まった。 仕組みが整ってから初めて自分の出 […]
第三百五十五夜   梅雨らしく判然としない昼下がりの空の下、明日か明後日か晴れるまで待てと止めるのも聞かずに竿とクーラ・ボックスを持って飛び出していった息子が、日の傾いてザアザアと音を立てて降り出した雨の中、息 […]
第三百五十四夜   五時を知らせる地域放送の『遠き山に日は落ちて』から遅れること十分、小学校低学年の息子が息を切らして帰宅した。 何故約束通りに帰ってこないかと叱言を言う私を遮って、 「幽霊、幽霊」 と大声で繰 […]
第三百五十三夜   連休が明けて、地元の不動産屋から連絡が入った。二人の子供も大きくなって少し手狭になってきたので、彼らが転校する必要のない範囲でもう少し余裕のある物件は無いかと年始頃に相談をしていたのだ。 仕 […]
第三百五十二夜   外出自粛要請を受けて間もなく私が在宅勤務をすることになったのを知った看護師の友人から、しばしばネット回線を使った音声通話が掛かってくるようになった。 彼女はもちろん出勤をするのだが、非番にな […]
第三百五十夜   母が出掛けた後、三つ離れた妹と二人きり、学校ごっこを始めた。 お互いに真面目な顔をして名字を呼び合い、ハイと答え、二、三秒にらめっこをした後堪えきれずに吹き出す。出欠確認の点呼のつもりだ。 背 […]
第三百四十八夜   新型肺炎の影響で、うちの部署もテレ・ワークとやらを始めることになった。 といって、元々がPCオタクだらけの職種であり、上司はともかく新入二年目の下っ端たる私など、下りてきた設計通りのプログラ […]
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