第三百八十七夜   通り雨が止んだのを見計らって、具合が悪いと寝込んだ妻のメモを頼りに買い物に出掛けた。 入念にメモを確認して買い忘れの無いことを確認して店を出ると、夕陽が雨を蒸発させて風が粘つく。先程まで生鮮 […]
第三百八十六夜   深夜、僅かなタクシィとトラックの他には通るもののほとんど無い幹線道路に自転車を走らせて日暮里駅の東側に着くと、シャツもズボンもすっかり汗で湿っていた。 九月のこの時間でもまだ湿った熱気が澱の […]
第三百八十五夜   終業時刻を迎えて多くの教員が帰宅する中、私を含む数人が職員室に居残った。 夏休み明けの試験の答案を採点しデータベースに入力する作業がまだ残っている。急ぎの仕事ではないのだが、個人情報云々がう […]
第三百八十四夜   九月になっても、大学生の夏休みは終わらない。疫病騒ぎでスケジュールは随分と変わったけれど、実験機材の不要な授業がオンラインに切り替わり、提出課題が増え、代わりに学生同士の接触の機会が減ったく […]
第三百八十三夜   このご時世で勤め先が無くなって、それでも伝を辿ってどうにか不動産屋に拾ってもらい、二週間ほど仕事を教えてもらった後、盆は「休み中に覚えておけ」と出された宿題を慣れないながらどうにかこなすのに […]
第三百八十二夜   秋の夜長と言うほどではないが秋分も近付いて幾らか日暮れも早くなり、夕食後の腹がこなれてジョギングに出掛ける頃にはもうすっかり夜になっていた。 ジョギング用のジャージとTシャツに着替え、軽くス […]
第三百八十一夜   一人暮らしの一週間分の食料の買い出しに街へ行った帰り、もう陽も沈みかけて薄暗い谷沿いの道を車で走っていると、道の真ん中にうずくまる白い人影が見えた。 速度を落としながら近付くと、ライトの中に […]
第三百七十六夜   八月に入って急に猛暑がやってきた。事務所内は冷房を効かせてそれなりに涼しいものの席により個人により体感温度が異なるし、節電という大義名分を味方につけた寒がり勢力に合わせた温度設定がなされてい […]
第三百七十四夜   いつもの最終バスに揺られながらスマート・フォンで今日のニュースをチェックしていると、普段なら停まらぬ停留所にバスが付けた。最終バスといっても田舎のことだからまだ午後十一時の手前ではあるが、田 […]
最近の投稿
アーカイブ