第六百五十九夜   休日の朝早く、割と仲の良いバイト仲間が入院したから代わりに入ってほしいと店長から連絡が来た。半日仕事をした後、都合のつくときに見舞いにでも行こうかとメッセージ・アプリで連絡を入れると、入院し […]
第六百五十六夜   仕事帰り、最寄り駅と半ば一体化した商業施設に入った本屋で一冊の単行本を買った。単行本といっても漫画である。自分でもいい歳をしていつまで集めるものかとも思うが、集め始めた小学生の頃から連載が終 […]
第六百五十夜   小学校から帰宅した息子が開口一番、パトカーを見た、制服姿の鑑識官もいたと興奮した声を上げた。肩越しに振り返ってうがい手洗いをするように指示し、お八つを用意しながら話を聞く。 彼がパトカーを見た […]
第六百四十八夜   玄関の鍵を開けた後、念入りにコートを叩き、そっと脱いで畳んでから扉を開けた。極力、花粉を部屋に入れないための工夫である。 荷物の類いも玄関にまとめて置くスペースを作ってあり、後ろ手に鍵を掛け […]
第六百四十二夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、遂に私も変な体験しちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿の客 […]
第六百四十夜   私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさんあ […]
第六百三十九夜   ストレスの発散に付き合ってほしいと誘われた居酒屋で晩くまで酒を飲み、結局足がなくなって、そのまま友人宅へお邪魔することとなった。 途中深夜営業の量販店で酒とツマミや甘味を仕入れ、友人宅へ着い […]
第六百三十八夜   買い出しの荷物を車から下ろしていると、下の娘が駆けてきて脚に取り付き何やら喚きだした。家の中で荷物を片付けていた妻が顔を覗かせると娘はそちらに鞍替えして家の中へと消える。 荷物を玄関まで運び […]
第六百三十六夜   昼食を終えた昼休み、湯呑に淹れたお茶を飲みながら凝った肩と目元のマッサージをしていると、部下の一人が浮かない顔で席の脇に立ち、 「ちょっとお時間、よろしいでしょうか」 と弱々しい声で尋ねてき […]
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