第六百六十五夜   突然の嵐で電車が不通になった。帰宅の足が無くなって困っていると、同僚が家へ泊めてくれると言う。大したもてなしは出来ないが職場にほど近いマンションの一室で、十五分ほど歩けば辿り着けるから、途中 […]
第六百六十四夜   季節外れの夕立に降られながら同僚と事務所の最寄り駅まで並んで歩いていると、不意に視界が白く染まり、一瞬後に爆音が轟いた。どうやらごく近くに落雷があったようだ。直ぐに駅構内に入ると、安全確認の […]
第六百六十夜   電車で訪れた取引先から、先方のご厚意で用意して頂いたタクシで帰社することになった。同行した部下との必要なやり取りを終えると特に話の種もなく、手帳を取り出してメモ書きを確認しながら暫く過ごす。 […]
第六百五十九夜   休日の朝早く、割と仲の良いバイト仲間が入院したから代わりに入ってほしいと店長から連絡が来た。半日仕事をした後、都合のつくときに見舞いにでも行こうかとメッセージ・アプリで連絡を入れると、入院し […]
第六百五十六夜   仕事帰り、最寄り駅と半ば一体化した商業施設に入った本屋で一冊の単行本を買った。単行本といっても漫画である。自分でもいい歳をしていつまで集めるものかとも思うが、集め始めた小学生の頃から連載が終 […]
第六百五十夜   小学校から帰宅した息子が開口一番、パトカーを見た、制服姿の鑑識官もいたと興奮した声を上げた。肩越しに振り返ってうがい手洗いをするように指示し、お八つを用意しながら話を聞く。 彼がパトカーを見た […]
第六百四十八夜   玄関の鍵を開けた後、念入りにコートを叩き、そっと脱いで畳んでから扉を開けた。極力、花粉を部屋に入れないための工夫である。 荷物の類いも玄関にまとめて置くスペースを作ってあり、後ろ手に鍵を掛け […]
第六百四十二夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、遂に私も変な体験しちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿の客 […]
第六百四十夜   私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさんあ […]
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