第六百七十五夜   夏至が近付いて随分陽が長くなった。七時を回って尚薄明るい中を最寄り駅から自転車に乗って帰宅すると、先に帰宅して、犬とともに出迎えてくれた妻に元気がない。どうかしたのかと尋ねる私に、彼女は右手 […]
第六百七十四夜   仕事の話を終えて荷物を片付けながら、間を埋める世間話に、 「あの、先程はご都合を考えずにお電話差し上げてしまって失礼致しました」 と今更ながら謝罪をした。遡ること三時間ほど、打ち合わせに先立 […]
第六百七十三夜   宿泊学習で県内の湖畔の県営施設に宿泊し、早朝に起きて霧雨の中のラジオ体操を終えるとすっかり身体が冷えていた。食堂へ移動して温かいスープを飲むと、腹に収まった熱がじわじわと手脚へ広がって行くよ […]
第六百六十八夜   中学の頃の部活の後輩と対戦していたネット・ゲームに一区切りがついた。当時同じカード・ゲームが好きで仲良くなって卒業後もたまに遊んでいた。多少疎遠になった時期もあったが、そのシリーズがネット上 […]
第六百六十七夜   学食で友人達と集まって昼食を摂り、次の授業まで時間のある者数人が残って世間話をしていると、 「日曜日、バイト先で変なことがあって……」 とそのうちの一人が言い出した。 彼女は大学入学後ほどな […]
第六百六十六夜   私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさん […]
第六百六十五夜   突然の嵐で電車が不通になった。帰宅の足が無くなって困っていると、同僚が家へ泊めてくれると言う。大したもてなしは出来ないが職場にほど近いマンションの一室で、十五分ほど歩けば辿り着けるから、途中 […]
第六百六十四夜   季節外れの夕立に降られながら同僚と事務所の最寄り駅まで並んで歩いていると、不意に視界が白く染まり、一瞬後に爆音が轟いた。どうやらごく近くに落雷があったようだ。直ぐに駅構内に入ると、安全確認の […]
第六百六十夜   電車で訪れた取引先から、先方のご厚意で用意して頂いたタクシで帰社することになった。同行した部下との必要なやり取りを終えると特に話の種もなく、手帳を取り出してメモ書きを確認しながら暫く過ごす。 […]
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