第七百二十一夜    晩酌のツマミもぼちぼち残り少なくなってきたところで、観るというよりは眺めていた映画が今ひとつ物足りないまま終わってしまった。もう暫く時間を潰そうとネット配信のニュース番組をモニタに映す。 […]
第七百二十夜    夕飯の買い物に出かけようとして、家の前の銀杏並木の落ち葉が気になった。それを掃いていると隣家の車が帰って来る。運転席の旦那さんの後ろのチャイルド・シートに幼稚園の息子さんが座り、その膝に乗せ […]
第七百十八夜    最寄り駅で集合した同僚達と共に病室へ入ると、奥様が丁寧に出迎えてくれた。昨日、上司が虫垂炎、いわゆる盲腸で緊急手術をしたので、皆で申し合わせて見舞いに来たのだ。  見舞いのあれこれを受け取り […]
第七百十三夜   昼休みの休憩に入ってPCをスリープさせ、昼食は何が好いかと隣の息子に尋ねる。インフルエンザのために学級どころか学年閉鎖となり、タブレットに送られてきた課題をサボらぬよう隣に座らせていたのだ。 […]
第七百十二夜   ハロウィンの晩、普段よりは早く帰宅した夫を黒いとんがり帽子とマントとで仮装した娘が出迎えると、彼は手に持った洋菓子の箱を笑顔で娘に渡した。帰り際に何かしら買ってくるように言ったのを、珍しく忘れ […]
第六百九十八夜   秋の大会に向けた合宿から帰ってきた妹が、溜まりに溜まった夏休みの課題を手伝って欲しいとプリントと教科書とを持って部屋を訪ねてきた。と言ってもベッドと勉強机とでいっぱいになってしまう私の部屋で […]
第六百九十七夜   いまひとつ納得の行かぬ思いで知人の店の扉を押すと、ドアベルのか細い音が店内に響いた。 互いに挨拶を交わすなり、 「何か嫌なことでも?」 と言われる。大したことでもないのに、そんなに露骨に表情 […]
第六百九十六夜   郊外の大型ショッピング・モールからの帰り道、夕陽に向かって走る格好になるのを嫌った夫がトイレ休憩を兼ねて街道沿いの広い駐車場を備えたコンビニエンス・ストアへ車を入れた。 橙色に光る西の空に目 […]
第六百九十三夜   買い物袋を手に帰宅すると、先に帰って夕飯の支度をしていた夫が、 「さっき、義伯父さんから電話があったよ」 とこちらを振り返った。 コンロの前に立つ彼の横で荷物を冷蔵庫に仕舞いながら、オジさん […]
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