第八百九夜    一限の授業を終えて三限まで暇になり、図書館で勉強をしているとメッセージ・アプリの着信を知らせる振動が鞄から響いた。同じような境遇の友人から、昼休みに入る前に学生食堂で一緒に昼食をとのお誘いのメ […]
第八百八夜    眠い目を擦りながら手拭いを手に部屋を出、共用の細長い洗面台で顔を洗う。折角の小旅行だが、メイン・イベントは不発だったようだ。後はせめてこの宿の朝食と、昼過ぎまでこのあたりの観光地を巡って取り返 […]
第八百五夜    始業時間まで二十分ほど、早足で事務所へ入り、既に出勤していた同僚二人に挨拶をしながら席に荷物を置いて、そのまま奥のトイレへ向かった。食中りというほどではないが、朝から少々腹の調子が悪い。  用 […]
第八百四夜    先輩達の怪談一時間ほど続いただろうか。 「じゃあ、私で最後ね」 と語り部の席に着いて宣言した先輩が、 「B棟に入ってる新入生は挙手して下さい」 と微笑むと、私を含めてぱらぱらと手が挙がる。   […]
第七百九十九夜    トレイに載せたカップ二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、私、ついにちょ能力に目覚めた!」 と聞こえてきた。  私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服 […]
第七百九十八夜    一週間の疲れを風呂で流し清潔な部屋着に着替えて冷房のよく効いた部屋へ戻ると、乾いて冷たい空気に急速に気化熱が奪われて心地好い。冷蔵庫から酒を取り出し、買い物袋からツマミをテーブルへ並べると […]
第七百九十一夜    高校入学後初めての夏休みも、早二週間が過ぎた。今日からは三泊四日の合宿で、一年は午前中の練習を早抜けして家庭科実習室で食事を準備する。二年生の当番が指示を出しながら簡単な昼食を作るのだが、 […]
第七百八十九夜    商談を終えた取引先からの帰り道、駅前からほんの五分の間に上司ともども汗だくになりながらプラットフォームに付くと、電車を待つ間に、 「商談成立のお祝い」 と言って自動販売機のスポーツ・ドリン […]
第七百八十六夜    前期日程も残すところ僅かとなって、帰省の日程を相談しようと母にメッセージ・アプリで連絡をした。時間のあるだろうタイミングを見計らった甲斐あって直ぐに返事が来るが、暇ならたまには声を聞かせろ […]
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