第八百十一夜    帰り道の量販店で何を買おうかと考えながら荷物を片付けていると、同じサークルの友人からメッセージ・アプリで連絡が来た。 ――今週の土日、どっちか暇だったりしない? 後期から土曜は午前中だけ講義 […]
第八百十夜    次のアポイントまで一時間ほど時間が空いてしまい、客先近くの大型商業施設の駐車場に車を停めた。小糠雨が降り続く中を喫茶店まで歩くのも面倒で、細々した仕事は車内で済ませることにする。  周囲が静か […]
第八百九夜    一限の授業を終えて三限まで暇になり、図書館で勉強をしているとメッセージ・アプリの着信を知らせる振動が鞄から響いた。同じような境遇の友人から、昼休みに入る前に学生食堂で一緒に昼食をとのお誘いのメ […]
第八百八夜    眠い目を擦りながら手拭いを手に部屋を出、共用の細長い洗面台で顔を洗う。折角の小旅行だが、メイン・イベントは不発だったようだ。後はせめてこの宿の朝食と、昼過ぎまでこのあたりの観光地を巡って取り返 […]
第八百五夜    始業時間まで二十分ほど、早足で事務所へ入り、既に出勤していた同僚二人に挨拶をしながら席に荷物を置いて、そのまま奥のトイレへ向かった。食中りというほどではないが、朝から少々腹の調子が悪い。  用 […]
第八百四夜    先輩達の怪談一時間ほど続いただろうか。 「じゃあ、私で最後ね」 と語り部の席に着いて宣言した先輩が、 「B棟に入ってる新入生は挙手して下さい」 と微笑むと、私を含めてぱらぱらと手が挙がる。   […]
第七百九十九夜    トレイに載せたカップ二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、私、ついにちょ能力に目覚めた!」 と聞こえてきた。  私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服 […]
第七百九十八夜    一週間の疲れを風呂で流し清潔な部屋着に着替えて冷房のよく効いた部屋へ戻ると、乾いて冷たい空気に急速に気化熱が奪われて心地好い。冷蔵庫から酒を取り出し、買い物袋からツマミをテーブルへ並べると […]
第七百九十一夜    高校入学後初めての夏休みも、早二週間が過ぎた。今日からは三泊四日の合宿で、一年は午前中の練習を早抜けして家庭科実習室で食事を準備する。二年生の当番が指示を出しながら簡単な昼食を作るのだが、 […]
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