第五百六十四夜   トレイに載せたカップ二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、新しい御札!作ってきた!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿の客も少 […]
第五百六十三夜   駅に着いてプラット・フォームへ出ると、そこに待つ人々は既に疎らだった。疫病騒ぎの中にわざわざ満員電車に乗ることもあるまいと、出社の時間を遅らせて晩く帰ることにしているからだ。 中でも途中駅で […]
第五百夜   春合宿の最終日の夜、夕食を終えた後の自由時間も三日目となると疲労も溜まり、各自持ち寄ったカード・ゲームやボード・ゲームの類にも皆飽き始めていた。 消灯時間までまだ間があるがそろそろ寝ると誰かが言い […]
第五百四十四夜   立つ鳥跡を濁さずの高潔な精神の持ち主というわけではないけれど、一度始めてしまえば単純作業もさほど苦に感じぬ質なもので、三月中に引き上げる部屋の大掃除に取り掛かると、家具の陰になっていたような […]
第五百三十九夜   早番の勤務を終える十分前、いつも通りに遅番の者とフロント業務の引き継ぎをしていると、その脇で電話が鳴った。 その呼び出し音の音色でそれが内線だとわかり、最も子機に近い私が反射的に受話器を取る […]
第五百三十八夜   日付の変わる十分前、いつも通りに夜勤の者とフロント業務の引き継ぎをしていると、その脇で電話が鳴った。 その呼び出し音の音色でそれが内線だとわかり、最も子機に近い私が反射的に受話器を取る。本体 […]
第四百九十八夜   提出課題を終えたご褒美にアイスでも買おうかと近所のコンビニエンス・ストアへ向かうと、既に町は薄紫色に包まれていた。秋分を過ぎてすっかり陽の落ちるのが早くなったものだ。 コンビニの中で包装を破 […]
第四百九十一夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、新しい都市伝説、仕入れちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿 […]
第四百八十五夜   夕立の中に傘を首で押さえながら、買い物袋を籠に乗せた自転車を押して帰宅すると、何はともあれ空調のリモコンを操作して冷房を入れた。誰も居ない日中に暖められて淀んだ部屋の空気が撹拌されながら、急 […]
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