第五百夜

 

春合宿の最終日の夜、夕食を終えた後の自由時間も三日目となると疲労も溜まり、各自持ち寄ったカード・ゲームやボード・ゲームの類にも皆飽き始めていた。

消灯時間までまだ間があるがそろそろ寝ると誰かが言い出すと、それに賛同する者が続々現れて各自の部屋へ引き上げて行き、食堂に残るのは僕ら五人だけとなる。

辺りが急に静かになって興が削がれ、それでも既にカードを配ったからこのゲームで終わりにしようなどと話していると、突然食堂の窓外が光り、ほぼ同時に重い破裂音が轟く。

何事かと思う間もなく食堂は真っ暗になり、漸く皆が驚きの声を上げ、落雷だ、停電だと自分の理解した範囲で状況の説明や対処を口にする。

誰かがスマート・フォンの電灯機能で手元を照らし、皆それに倣う。どうしようかと話していると手に懐中電灯を持った顧問と施設の方がやってきて食堂内を舐めるように照らす。

彼等は二言三言話し合った後、生徒の安全の確認の為に食堂で点呼を取りたい、施設の方は電気関係の確認と復旧作業にこの場を離れ、顧問は点呼のために食堂に残るからと、僕らに施設内を回って生徒達を食堂へ集めるように言う。

予備の懐中電灯を受け取って食堂を出、どうすれば効率よく全員を食堂に集める事ができるかと話し合いながら歩く。

最上階の三階から声を掛け、無人になったのを確認してから二階に降り、二階でも同じことを繰り返せば良い。二箇所しかない階段に一人ずつ配置して上に登る者がないことを確認すれば確実だろう。

そう結論して階段を上ると、踊り場や周辺の廊下スマホの灯りで互いを照らす人集りが出来ていた。点呼を取るために食堂へ集まるように呼びかけると、ざわつきながらも素直に階段を下り始める。ざっと見たところ、殆どの生徒がそこに集まってるようだ。
特に女子は皆三階の部屋が割り当てられているのに、何故二階に集合しているのか。

不思議に思って最後尾の一団に尋ねてみると、
「皆で引き上げて行ったとき、一年の子がね、この階段に小学生くらいの男の子が立っているっていい出して……」
「その子が、三階に上がっちゃダメだって言ってるとか騒ぎ出して、皆を足止めしてたの」
「そしたら突然、さっきの雷が来て真っ暗になっちゃってさ」
「上、多分誰もいないけど、確認に行くなら気をつけてね」。
そんなことを告げて階段を下る彼女らの足元を懐中電灯で照らしてやりながら、僕らは顔を見合わせた。

そんな夢を見た。