第八百二十夜    夕食の入ったエコ・バッグを提げ、扉の前でキィ・ホルダを取り出していると、隣の部屋の扉が開いた。音に反応して振り返ると出てきた隣の住人は私に気付いて少々目を見開き、続いて会釈して挨拶を交わす。 […]
第八百十九夜    秋もいよいよ深まって、家を出ると顔に当たる風が冷たかった。そろそろ本格的に冬物のお世話になる頃か、もう暫く秋物に活躍してもらわねば元が取れぬかなどと考えながらいつもの電車に乗ると、満員電車は […]
第八百十八夜    ここ数日秋の長雨が続いて洗濯物がたまってしまった。顔を洗って直ぐに洗濯機を回し、簡単な朝食を摂る。  一通り洗い物を済ませたところで第一陣の洗濯が終わる。洗濯機から籠へ洗濯物を取り出し、代わ […]
第八百十七夜    皿のサンドウィッチを食べ終わり、幾分温くなった珈琲の紙コップを手に席を立ち、ガラス張りの喫煙スペースに入って煙草に火を点けた。午後の予定と必要な資料を頭の中でおさらいしながら、空気清浄機へ吸 […]
第八百十六夜    取引先でのミーティングを終えて荷物を片付け始めたとき、ふと先日抱いた疑問が頭を過った。  それは今日のミーティングの日時を決めるべく電子メールを送り、その返事が届いたときのことだった。「この […]
第八百十五夜    三連休を利用して、少々遠方の山へやってきた。紅葉の季節で人手も賑わい、初日は観光客の多い文化遺産や市街地を見て回り、二日目は朝から山のハイキング・コースを歩くことにした。  入口から暫く歩く […]
第八百十四夜    自宅の最寄駅のロータリから、暫く振りにバスに乗った。検索で見つけた雑貨屋へ行きたいのだが、その店が直線距離で六キロメートルほどで、自転車を持っていない私には少々遠い。可といって電車で行こうと […]
第八百十三夜    郊外にある大型ショッピング・モールからの帰り道、 「あれ、公衆電話だ。まだあるものなんだな」 と運転席の夫が、顎を前に出した。その方向を見ればなるほど、横断歩道の階段の下に花を咲かせた夾竹桃 […]
第八百十二夜    キャンプ趣味の友人達と三人で連れ立って山へ行こうと、車二台に分かれて金曜の深夜に高速道路を走った。運転免許は皆が持っているが、一人がバンを所有していて皆の荷物を詰め込めるので、人間が一人余る […]
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