第八百十二夜    キャンプ趣味の友人達と三人で連れ立って山へ行こうと、車二台に分かれて金曜の深夜に高速道路を走った。運転免許は皆が持っているが、一人がバンを所有していて皆の荷物を詰め込めるので、人間が一人余る […]
第七百七十八夜    路傍に立つ警官に交通規制の詳細を尋ね、礼を言って窓を閉めながらアクセルを踏むと、 「凄い人出ですね」 と助手席から声を掛けられた。 「私も地元出身じゃないのであまり良くわかっていないんです […]
第七百二十九夜    サービスエリアに休憩で入り、特に尿意のあった訳では無いが腰の痛さに席を立った。何時間かぶりに座席から立ち上がって圧力から開放された尻に血が通うのがわかる。  運転手に続いてバスを降りると、 […]
第七百二十夜    夕飯の買い物に出かけようとして、家の前の銀杏並木の落ち葉が気になった。それを掃いていると隣家の車が帰って来る。運転席の旦那さんの後ろのチャイルド・シートに幼稚園の息子さんが座り、その膝に乗せ […]
第七百十八夜    最寄り駅で集合した同僚達と共に病室へ入ると、奥様が丁寧に出迎えてくれた。昨日、上司が虫垂炎、いわゆる盲腸で緊急手術をしたので、皆で申し合わせて見舞いに来たのだ。  見舞いのあれこれを受け取り […]
第七百九夜   実験で帰宅の遅くなった夜、人気のなくなって少々気味の悪い構内を抜け、線路沿いを駅に向かっって歩いているとなんだか周囲の様子が普段と違うのに気が付いた。踏切に差し掛かると、そこへ向かう道に車が渋滞 […]
第七百三夜   秋分を回って大分暗くなってきた早朝、昨日の雨のためか既に蒸し暑い中を店の裏の倉庫前に立って守衛と世間話をしていると、いつも通り定刻にトラックがやってきた。 守衛の前を離れてトラックを定位置へ誘導 […]
第六百九十七夜   いまひとつ納得の行かぬ思いで知人の店の扉を押すと、ドアベルのか細い音が店内に響いた。 互いに挨拶を交わすなり、 「何か嫌なことでも?」 と言われる。大したことでもないのに、そんなに露骨に表情 […]
第六百八十九夜   珈琲が落ちてゆくのを眺めながら頭の中で幾度目かの反省を終えるが、やはり原因には思い至らなかった。もはや怪奇現象とでも思って諦めるしかないのだろうか。 苦い珈琲を舐めながら暫く呆けていると、店 […]
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