第六百八十五夜   始業前、同僚達と上司の心配をしながら仕事の準備をしていると、噂をすれば影、珍しく汗まみれの上司が肩で息をしながらやってきた。普段ならもう三十分は早くやってきて、涼しい顔で部下を迎えるのが通例 […]
第六百八十二夜   知人の紹介で隣県から初めて受けた依頼の打ち合わせに初めて行った帰り道、少々悩んだ末に海岸沿いの遠回りではなく、行きに通った山中の最短ルートを戻ることにした。夏至から間もないから日が落ちるまで […]
第六百七十夜   南方の台風が梅雨前線を刺激した嵐の中、各種警報にもめげず定刻まできっちり営業した我が店の閉店作業を終えてネット調べると、予想通りにバスの運行は休止していた。「こういう非常時に利用できてこそ、ホ […]
第六百三十六夜   昼食を終えた昼休み、湯呑に淹れたお茶を飲みながら凝った肩と目元のマッサージをしていると、部下の一人が浮かない顔で席の脇に立ち、 「ちょっとお時間、よろしいでしょうか」 と弱々しい声で尋ねてき […]
第六百二十三夜   友人に夜釣りへ誘われて釣り道具一式を揃え自宅に待機していると、彼からもうすぐ着くとメッセージが来た。彼との釣りはいつも、運転を趣味の一つにしている彼が車で迎えに来てくれるのだ。 防寒具を着込 […]
第六百十九夜   担任から、娘の通学路について一斉メールで連絡が来た。年末が近付いて気の緩む時期、四月に届け出たそれから大幅に逸れて寄り道をする子供が増えるので、各家庭で適切な指導をとのことだった。 中学生なが […]
第六百十三夜   郊外の大型量販店へ買い出しに出掛けた帰りの夕刻、事故でもあったか五十日にでも当たったか知らないが幹線道路で渋滞に巻き込まれた。 幹線道路といってもこの辺りは住宅街にほど近く、また片側が三車線も […]
第五百六十八夜   配送から帰ってきた新入りのドライバが、駐車場に車を停めるなり顔を真っ青にして事務所へと駆けて行った。 ――ああ とちょっとした予感がする。手元の仕事に一区切りを付けてから、事務所へと様子を見 […]
第五百五十六夜   季節外れの台風が直撃するとの予報が出て、今日は朝から倉庫やらの風害対策をし、仕事は日暮れ前に引き上げることになった。 台風から続く雲が長雨を降らせる中をちょうど子供達が下校中で、色鮮やかな傘 […]
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