第八百二十夜    夕食の入ったエコ・バッグを提げ、扉の前でキィ・ホルダを取り出していると、隣の部屋の扉が開いた。音に反応して振り返ると出てきた隣の住人は私に気付いて少々目を見開き、続いて会釈して挨拶を交わす。 […]
第八百十八夜    ここ数日秋の長雨が続いて洗濯物がたまってしまった。顔を洗って直ぐに洗濯機を回し、簡単な朝食を摂る。  一通り洗い物を済ませたところで第一陣の洗濯が終わる。洗濯機から籠へ洗濯物を取り出し、代わ […]
第七百八十六夜    前期日程も残すところ僅かとなって、帰省の日程を相談しようと母にメッセージ・アプリで連絡をした。時間のあるだろうタイミングを見計らった甲斐あって直ぐに返事が来るが、暇ならたまには声を聞かせろ […]
第七百六十六夜    何やら食欲をそそる香辛料の香りとともに、ジュウジュウとフライパンか何かでものを炒める音が聞こえて目が覚めた。眩しさに薄目を開けて首を巡らせると、台所とも呼べないような廊下の一角、小さな流し […]
第七百三十六夜    目の疲れが気になって友人に洗面所を借り、コンタクト・レンズを外して眼鏡を掛ける。外した後のこの不思議な爽快感はきっと眼球に酸素の行き渡る感覚なのだろう。  テーブルに戻ると今度は友人が席を […]
第七百二十六夜    バックヤードで事務仕事をしているところへシフト前十分ほどの余裕を持ってバイト君がやってきた。いつも通り挨拶を交わすが心做しか元気がない。  簡単な更衣室へ入って着替える彼へ、どうかしたのか […]
第六百七十八夜   久しぶりによく晴れた休日の午後、早々に乾いた洗濯物を取り込んでいると、ポケットの中でスマート・フォンが振動した。そそくさとベランダへの掃き出し窓を閉めて冷気の流出を止めてから確認すると、大学 […]
第六百四十八夜   玄関の鍵を開けた後、念入りにコートを叩き、そっと脱いで畳んでから扉を開けた。極力、花粉を部屋に入れないための工夫である。 荷物の類いも玄関にまとめて置くスペースを作ってあり、後ろ手に鍵を掛け […]
第六百四十六夜   昼食の用意のために台所に立っていると、呼び鈴が鳴らされた。今日は昼に誰か尋ねてくる予定があったろうか。通信販売の荷物が届く予定は無い。が、数秒で心当たりを思い出す。今朝八時頃に尋ねてきた業者 […]
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