第七百二十四夜    三時限目、本日最期の試験時間が終わって解答用紙を前の席に回し、ようやく隣の席へ、 「その足、どうしたの?」 と声を掛けることが出来た。昨日まで何でもなかった彼女が、今朝のホームルームの始ま […]
第七百二十三夜    試験期間に入って部活がなくなり、帰宅した玄関が明るいのは久し振りだった。玄関ドアのノブを回してそっと引くと、予想通りと言うべきか鍵が開いている。一人のときは施錠をしろと上階にいるだろう妹へ […]
第七百二十二夜    電話が鳴って、夕飯の支度に掛かっていた手を止めた。電話機のディスプレイには二年前まで息子のお世話になっていた幼稚園の名前が表示されている。はて今更何の用かと首を傾げながら受話器を取ると、裏 […]
第七百二十一夜    晩酌のツマミもぼちぼち残り少なくなってきたところで、観るというよりは眺めていた映画が今ひとつ物足りないまま終わってしまった。もう暫く時間を潰そうとネット配信のニュース番組をモニタに映す。 […]
第七百二十夜    夕飯の買い物に出かけようとして、家の前の銀杏並木の落ち葉が気になった。それを掃いていると隣家の車が帰って来る。運転席の旦那さんの後ろのチャイルド・シートに幼稚園の息子さんが座り、その膝に乗せ […]
第七百十九夜    昼の最も混み合う時間を避けて少し遅い昼食をとりに学食へ向かうと、サークルの先輩が一人で座ってサンマを突いていた。挨拶をして隣の席に荷物を置かせてもらい熱いうどんをトレイに載せて戻ってくると、 […]
第七百十八夜    最寄り駅で集合した同僚達と共に病室へ入ると、奥様が丁寧に出迎えてくれた。昨日、上司が虫垂炎、いわゆる盲腸で緊急手術をしたので、皆で申し合わせて見舞いに来たのだ。  見舞いのあれこれを受け取り […]
第七百十六夜   友人と二人で映画を見に行き、ホット・スナックと飲み物を手に席に着くと、互いに荷物番をして用を済ませた。二人揃って時刻を確認すると、上映が始まる迄まだまだ余裕がある。時間に追われるのが嫌いな性分 […]
第七百十五夜   大風の後片付けに男手が欲しいと実家に請われ、祝日前の夜に車を走らせて帰省した。 疲れているから明日の片付けのために早く寝たいというのを父に止められ、晩酌に付き合わされる。傍らではテレビの特番で […]
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