第四百七十一夜   強制的に始まったOSのアップデートが終わり、漸く仕事に取り掛かれると安心して珈琲を淹れに席を立った。 全く身に覚えはないが、何かの拍子で自動アップデートを許可してしまったのだろう。仕事を始め […]
第四百七十夜   「ほいこれ、今日中に回ってね」 と笑顔の社長が差し出した紙袋には、A3のバインダが一つと大量の線香の束、日本酒のガラス・カップ十数本、そして商売繁盛で有名な神社の御札が入っていた。 最後に社用 […]
第四百六十九夜   従業員に発熱した者が出て人手が足らぬからと急遽系列店へ呼び出され、勝手の違いに多少戸惑いつつも仕事をこなし、一息吐くともうとうに日付が変わり、草木も眠る頃となっていた。 労いの缶珈琲を受け取 […]
第四百六十七夜   仕事帰りに立ち寄った駅前のスーパーを出て、住宅地へ続く道を数分歩くともう人気は殆ど無くなり、静かに湿った夜道がLEDの街灯をぬらりと反射しているばかりとなった。 これだけ交通量の無い中ならと […]
第四百六十六夜   御茶ノ水の病院からの帰途、橋から見下ろすホームに人が犇めき合っているのが見えた。改札前も黒山の人だかりで、拡声器のアナウンスで漸く、人身事故で電車が止まっていると知れた。 友人の見舞いだった […]
第四百六十四夜   早朝、事務所の駐車場に着くと、既に昨日見た黒いワンボックス・カーが停まっていて、こちらが車を停めている間に中から金色のソバージュ男が現れた。デニムのダメージ・パンツに黄色いTシャツ、黒革のベ […]
第四百六十三夜   買い貯めした向こう一週間分の食料品を両手に提げて量販店を出ると、予報に反してにわか雨が路面を濡らしていた。 傘は持っていないが、両手の塞がっている以上濡れて歩くことには変わりないので濡れて帰 […]
第四百六十一夜   買い物から帰宅した私を、西日に当たって橙色に染まるキャット・タワーの中段に寝ていた猫が面倒くさそうに首を上げてこちらを見た。目が合うとそろそろ夕食と気付いて立ち上がり、背を丸めて伸びをしてか […]
第五百夜   先生に不意に背中を叩かれ、慌てて、 「よろしくお願いします」 と頭を下げると、横一列に並んだ先輩や同学年ながら他学級の生徒達も口々によろしくと答えたり、小さく会釈を返してくれた。 何もこんな時期に […]
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