第四百六十七夜

 

仕事帰りに立ち寄った駅前のスーパーを出て、住宅地へ続く道を数分歩くともう人気は殆ど無くなり、静かに湿った夜道がLEDの街灯をぬらりと反射しているばかりとなった。

これだけ交通量の無い中ならと、歩きながらスマート・フォンを取り出して天気予報を調べる。向こう一週間、びっしりと傘が並んでいる。部屋干しで臭うのが嫌で、晴れたら纏めて処理しようと思っていた洗濯物ももう随分溜まっている。一時的に雨粒の落ちて来ないでいる今のうちに、コイン・ランドリの乾燥機のお世話になろうか。

そんなことを考えながら歩いていると、ズボンの内側、太腿の付け根に何か硬いものが当たり、膝から膝頭、向う脛と落ちていって裾から飛び出し、濡れたアスファルトに落ちて小さな金属音を立てた。

思わず立ち止まって音のした辺りに目を遣ると、直径一センチ、長さ二センチほどのネジが落ちている。

今着ているのはごく普通のスーツで、そんなものが付いている訳は無いし、職場で紛れ込むような仕事でもない。
一体何処から来たネジなのか皆目見当も付かないが、もし万が一にでも何か大事な部品であったらと思うと落ち着かない。

少々悩んだが結局それを摘み上げてポケットに入れ、再び雨の降り出さぬうちに洗濯物を片付けるべく、また家路を急いだ。

そんな夢を見た。

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