第六百十六夜   友人と二人連れで映画を見た帰り、夕食を摂るにはまだ早く解散するにはまだ早い。何か甘いものでも食べるのに良い店はないかと繁華街を並んで歩いていた。 暫く歩くと、髭を生やしナイト・キャップを被った […]
第六百十五夜   エレベータ・ホールに到着して下向きの三角形が描かれたボタンを押して上を向くと、一階のランプが点灯していた。 一階のランプが消えて二階のそれが点き、また消えて三階へと移る様子を眺めながら、背後か […]
第六百十四夜   友人がメッセージ・アプリで、 ――ちょっとこれを見て という言葉とともに猫の画像を送ってきた。長毛種の猫が撫でろとでも言うように仰向けになって腹を見せている。 提出課題をやっつけている最中だっ […]
第六百十二夜   仕事から帰宅して夕食を撮ると直ぐ、前日から準備していた荷物を車へ積み込んで友人宅へ出発した。彼のキャンプ趣味に興味を持った私が何処かへ連れて行ってくれと頼むと、二人分の用具は十分にあるのだが彼 […]
第六百十一夜   秋晴れの日曜の午後、スリッパを履いてゴルフの中継を聞き流しているのは駅前の鍼灸院の待合室だった。 眼精疲労か運動不足か、はたまた季節の変わり目か、ここのところ肩凝りが酷くて堪らないのだと先日部 […]
第六百十夜   マグカップに手を伸ばしながらモニタの時計に目をやるともうそろそろ昼休みという頃合いに、半休の連絡があったという上司が出勤してきた。振り向いて朝の挨拶を疑問形で投げかけると、しかし彼は土色の顔で生 […]
第六百九夜   冷たく乾いた風によく晴れた日差しの暖かさを感じながら洗濯物を干していると、居間のテーブルの上でスマート・フォンが着信音を鳴らし始めた。 物干し竿へ最後のシャツを掛け終えて急いで部屋に戻ると職場の […]
第六百八夜   偶には外で食事でもしようと約束し、仕事帰りの彼女を待つ間、珈琲でも飲んで時間を潰すことにした。食事といってもこちらは休日で店も堅苦しい高級店ではないから、ジム帰りの普段着姿だ。 駅構内のチェーン […]
第六百七夜   道路脇の崖沿いに作られた小さな休憩所兼展望台の木製のベンチへ倒れ込み、手足を大の字に伸ばして仰向けになった。太腿が限界だ。友人が苦笑いをしながらストレッチをするよう促し、トイレの脇に置かれた飲み […]
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