第七百五十五夜   「うーん、こんなことってあるんですね」 と思わず独りごちたのを、男性社員がどうかしたのかと拾ってくれた。折角気にかけてくれたのなら、店の締めの作業の傍らの雑談がてらにと、昼に売られてきた高級 […]
第七百五十一夜    仕事を上がろうとしたタイミングで足止めを喰らい帰りが遅れてしまった。薄暮の帰路を早足で、既に学童から帰っているはずの息子の元へ急ぐ。春分も間近になって日の暮れきるのにはまだ時間があるとはい […]
第七百四十六夜    学年末試験まで一週間となった放課後、美術準備室へ忘れ物をしているのに気が付いて、仲の良い友人二人を誘って取りに行った。  準備室は普通の教室の三分の一ほどの広さで、廊下側の扉は施錠され、普 […]
第七百四十五夜    一つ小さな仕事を片付けてフロントへ戻ると、上司が営業スマイルを浮かべながらPCを操作していた。何かあったのかと尋ねると、彼女はこちらに視線さえ向けずに手を動かしながら、先ほどチェックインし […]
第七百四十三夜    夕食後にひと暴れして眠り込んでしまった息子を布団に寝かせた後、帰宅した妻の夕食に付き合って軽く酒を飲んでいると、 「会社の同僚の住んでいる近所に、良いかもしれない物件があるらしいんだけど」 […]
第七百四十夜    午後九時を少し過ぎた頃、日課のジョギングで線路沿いの道を走っていたときのこと、踏切の前に停まる列車の最後尾の車両が見えた。車両の立ち往生か、それとも人身事故か。  住宅街を走る私鉄で、朝夕の […]
第七百三十九夜    昼食から戻って用を足し、ハンド・タオルで手を拭いながらデスクに戻ろうと歩いていると、急に名前を呼ばれた。人の顔を覚えるのは苦手ではないが、手を振りながら歩み寄ってくる男性の名はピンとこない […]
第七百三十五夜    予約を入れていたお陰で入店するなり準備万端整った居酒屋の座敷で音頭をとらされて乾杯をし、まだ冷たい唇をジョッキに付ける。もう二十数年も前に転校した小学校で特に仲の良かった五人が集まったのは […]
第七百三十四夜    就業時間を終えて特に残業もなく、身支度を終えたものから三々五々帰宅を始める中、上司から珍しく晩飯でもどうかと誘われた。上司は既婚者でもあり、酒も強くないと自称していたから、まさか声を掛けて […]
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