第七百四十五夜    一つ小さな仕事を片付けてフロントへ戻ると、上司が営業スマイルを浮かべながらPCを操作していた。何かあったのかと尋ねると、彼女はこちらに視線さえ向けずに手を動かしながら、先ほどチェックインし […]
第七百四十三夜    夕食後にひと暴れして眠り込んでしまった息子を布団に寝かせた後、帰宅した妻の夕食に付き合って軽く酒を飲んでいると、 「会社の同僚の住んでいる近所に、良いかもしれない物件があるらしいんだけど」 […]
第七百四十夜    午後九時を少し過ぎた頃、日課のジョギングで線路沿いの道を走っていたときのこと、踏切の前に停まる列車の最後尾の車両が見えた。車両の立ち往生か、それとも人身事故か。  住宅街を走る私鉄で、朝夕の […]
第七百三十九夜    昼食から戻って用を足し、ハンド・タオルで手を拭いながらデスクに戻ろうと歩いていると、急に名前を呼ばれた。人の顔を覚えるのは苦手ではないが、手を振りながら歩み寄ってくる男性の名はピンとこない […]
第七百三十五夜    予約を入れていたお陰で入店するなり準備万端整った居酒屋の座敷で音頭をとらされて乾杯をし、まだ冷たい唇をジョッキに付ける。もう二十数年も前に転校した小学校で特に仲の良かった五人が集まったのは […]
第七百三十四夜    就業時間を終えて特に残業もなく、身支度を終えたものから三々五々帰宅を始める中、上司から珍しく晩飯でもどうかと誘われた。上司は既婚者でもあり、酒も強くないと自称していたから、まさか声を掛けて […]
第七百三十三夜    目が醒めて枕元の目覚まし時計を確かめると、既に十時を回っていた。まあ先程眠りに就いたのが朝方の五時頃だったから仕方がない。普段なら遅刻だと慌てるところだが、インフルエンザで出勤停止なのだか […]
第七百二十六夜    バックヤードで事務仕事をしているところへシフト前十分ほどの余裕を持ってバイト君がやってきた。いつも通り挨拶を交わすが心做しか元気がない。  簡単な更衣室へ入って着替える彼へ、どうかしたのか […]
第七百二十三夜    試験期間に入って部活がなくなり、帰宅した玄関が明るいのは久し振りだった。玄関ドアのノブを回してそっと引くと、予想通りと言うべきか鍵が開いている。一人のときは施錠をしろと上階にいるだろう妹へ […]
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