第七百八十五夜    同僚の若い女性教師が、珍しく遅刻ギリギリになって職員室へやってきた。慌ただしく荷物を広げて準備に取り掛かる彼女に何かあったかと尋ねると、 「夜中に目覚ましのアラームが掛かって起こされてしま […]
第七百八十四夜    卓上扇風機から送られてくる生暖かい風でせめてもの涼をとりながら、一向に減らない期末試験の答案用紙に赤ペンを入れていると、いつの間にやら傍らに置いたグラスの麦茶が消えていた。席を立って給湯室 […]
第七百八十三夜    渡された試験範囲表を片手に眺めながら、びっしょりと汗を掻いたグラスを手に取り、ストロを咥えて珈琲を吸う。梅雨の中休みというのか、薄雲は広がりながらも気温が高く蒸し暑い中を歩いてきて火照った […]
第七百八十夜    大学のサークルの先輩に誘われて、彼の車で郊外の大きな娯楽施設へ行くことになった。サークルの仲間四人で大学の最寄り駅に集合し、ロータリへ入ってきた先輩の車に乗り込んで走り出すと警告音が鳴り、 […]
第七百六十四夜    たまの休日に遅く起き、顔を洗ってさっぱりしたところで昼前から酒でもと冷蔵庫を開けて、酒のストックを切らしていたことに気が付いた。この小さな贅沢のツマミに昨晩、出来合いの惣菜を買っておいたの […]
第七百六十三夜    大型連休に遊ぶ金も無く、食費を浮かせようと実家へ戻った。そこは今まさにお兄夫婦が生まれて間もない初子を育てている真っ最中で、邪魔者扱いされるかと思いきやこき使える人手として歓迎はされたが、 […]
第七百六十夜    久し振りの酒の席で、少々飲みすぎてしまった。疫病騒ぎで新入社員の歓迎会が開かれたのは四年ぶりだったろうか。今でも政府やマスコミが騒がないだけで、病院へ行けば医療関係者は警戒を緩めていないのが […]
第七百五十七夜    スーツに付いた春雨の雫をタオルで拭っていると、今年新入の女の子が出社してきた。彼女は荷物をデスクに置きながら、 「おはよう……」 と言った後目を丸くしながら絶句して、 「……申し訳……あり […]
第七百五十六夜    デートから帰って荷物を下ろすと、彼女が真っ先にしたのはスマート・フォンの充電だった。肩に掛けたターコイズ・ブルーの鞄から充電器とスマート・フォンとを取り出すと、卓袱台の脇に伸ばしたマルチ電 […]
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