第七百九十九夜    トレイに載せたカップ二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、私、ついにちょ能力に目覚めた!」 と聞こえてきた。  私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服 […]
第七百九十八夜    一週間の疲れを風呂で流し清潔な部屋着に着替えて冷房のよく効いた部屋へ戻ると、乾いて冷たい空気に急速に気化熱が奪われて心地好い。冷蔵庫から酒を取り出し、買い物袋からツマミをテーブルへ並べると […]
第七百九十一夜    高校入学後初めての夏休みも、早二週間が過ぎた。今日からは三泊四日の合宿で、一年は午前中の練習を早抜けして家庭科実習室で食事を準備する。二年生の当番が指示を出しながら簡単な昼食を作るのだが、 […]
第七百八十九夜    商談を終えた取引先からの帰り道、駅前からほんの五分の間に上司ともども汗だくになりながらプラットフォームに付くと、電車を待つ間に、 「商談成立のお祝い」 と言って自動販売機のスポーツ・ドリン […]
第七百八十六夜    前期日程も残すところ僅かとなって、帰省の日程を相談しようと母にメッセージ・アプリで連絡をした。時間のあるだろうタイミングを見計らった甲斐あって直ぐに返事が来るが、暇ならたまには声を聞かせろ […]
第七百八十五夜    同僚の若い女性教師が、珍しく遅刻ギリギリになって職員室へやってきた。慌ただしく荷物を広げて準備に取り掛かる彼女に何かあったかと尋ねると、 「夜中に目覚ましのアラームが掛かって起こされてしま […]
第七百八十四夜    卓上扇風機から送られてくる生暖かい風でせめてもの涼をとりながら、一向に減らない期末試験の答案用紙に赤ペンを入れていると、いつの間にやら傍らに置いたグラスの麦茶が消えていた。席を立って給湯室 […]
第七百八十三夜    渡された試験範囲表を片手に眺めながら、びっしょりと汗を掻いたグラスを手に取り、ストロを咥えて珈琲を吸う。梅雨の中休みというのか、薄雲は広がりながらも気温が高く蒸し暑い中を歩いてきて火照った […]
第七百八十夜    大学のサークルの先輩に誘われて、彼の車で郊外の大きな娯楽施設へ行くことになった。サークルの仲間四人で大学の最寄り駅に集合し、ロータリへ入ってきた先輩の車に乗り込んで走り出すと警告音が鳴り、 […]
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