第五百五十二夜   校庭から体育館、プールの順に回り、最後に部室棟を案内してもらい、運動部の部活案内は解散となった。文化部の案内は明日、体験入部は明後日からの予定で、私を含む新入生五十人は帰宅のために各自の荷物 […]
第五百三十夜   賑やかな部室 「五分で戻って来ること、いいね?」 と念を押す顧問にはいと答えながら軽く頭を下げて部室棟の鍵束を受け取り、職員室を後にした。鍵を任されるのは信用されているからなのか、それとも単に […]
第四百夜   夏休み中の学校で開かれている水泳の特別授業を終えて帰って来るなり「痛いから見てくれ」と要求し、ワンピースの裾を捲くってこちらに背を向ける娘の尻に、確かに左右二つの大きな青アザが出来ていた。 薬を求 […]
第五百夜   先生に不意に背中を叩かれ、慌てて、 「よろしくお願いします」 と頭を下げると、横一列に並んだ先輩や同学年ながら他学級の生徒達も口々によろしくと答えたり、小さく会釈を返してくれた。 何もこんな時期に […]
第四百五十夜   早朝に校庭へ集まって十数分経った頃、出掛けに父の予言したとおりに雨が降り始め、皆急いで荷物を手に手に、大きな庇に守られた昇降口へ避難する。とても通り雨といった様子でなく、西の空にも低い灰色の雨 […]
第四百十二夜   給食の時間が終わって昼休みになると、クラスの中でいちばん脚の速い男子が弾けるように廊下へ飛び出して行く。 私もそれに続き、一応は駆け足禁止となっている廊下を駆け抜けて一階の渡り廊下へ出る。 雨 […]
第三百八十九夜   始業のチャイムを待つ教室は、毎朝の例に漏れずお喋り好きの連中の声でざわめいていた。 ただ、賑やかかといえばそうではない。皆、周りの耳を憚るように声を潜め、それでも話さずにはいられないひそひそ […]
第三百八十五夜   終業時刻を迎えて多くの教員が帰宅する中、私を含む数人が職員室に居残った。 夏休み明けの試験の答案を採点しデータベースに入力する作業がまだ残っている。急ぎの仕事ではないのだが、個人情報云々がう […]
第三百三十八夜   暇なバイト仲間で集まって酒を飲むことになった。暇というのは事実でありつつ、バイト仲間の気になる子を呼んで仲良くなろうという魂胆で、家主である女友達と共謀して互いに意中の相手を誘ったわけだ。 […]
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