第七百九十六夜    私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさ […]
第七百九十一夜    高校入学後初めての夏休みも、早二週間が過ぎた。今日からは三泊四日の合宿で、一年は午前中の練習を早抜けして家庭科実習室で食事を準備する。二年生の当番が指示を出しながら簡単な昼食を作るのだが、 […]
第七百八十四夜    卓上扇風機から送られてくる生暖かい風でせめてもの涼をとりながら、一向に減らない期末試験の答案用紙に赤ペンを入れていると、いつの間にやら傍らに置いたグラスの麦茶が消えていた。席を立って給湯室 […]
第七百七十四夜    先生が教室に入ってくるまで数分の時間潰しのつもりで朝読書に持参した本を読んでいると、しばらく熱中したところで引き戸が開いて先生が入ってきた。顔を上げるとジャージ姿の先生の上の壁掛け時計はい […]
第七百五十九夜    仕事から帰って来ると、普段にも増して騒がしい息子とそれを羨ましげに目を輝かせる娘、そして普段になく憂鬱そうな妻とが出迎えてくれた。三人揃って出迎えてくれる絵面と言うだけでも十分に珍しいのに […]
第七百四十九夜    放課後の職員室で学年末試験の解答用紙を整理していると、隣の机へ教頭がやってきて、 「これ、例のもの」 と同僚へ掌大の白い紙袋を渡した。同僚はさも嬉しそうにそれを受け取り、お代はといって財布 […]
第七百四十六夜    学年末試験まで一週間となった放課後、美術準備室へ忘れ物をしているのに気が付いて、仲の良い友人二人を誘って取りに行った。  準備室は普通の教室の三分の一ほどの広さで、廊下側の扉は施錠され、普 […]
第七百三十七夜    午前中で簡単なホーム・ルームを終えて帰宅しようと席を立ったところ、 「すみません、ちょっとだけお時間を宜しいでしょうか」 と女の子の声がした。目を遣ると何やら冊子の束を抱えた女子生徒が、担 […]
第七百十九夜    昼の最も混み合う時間を避けて少し遅い昼食をとりに学食へ向かうと、サークルの先輩が一人で座ってサンマを突いていた。挨拶をして隣の席に荷物を置かせてもらい熱いうどんをトレイに載せて戻ってくると、 […]
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