第七百八十夜    大学のサークルの先輩に誘われて、彼の車で郊外の大きな娯楽施設へ行くことになった。サークルの仲間四人で大学の最寄り駅に集合し、ロータリへ入ってきた先輩の車に乗り込んで走り出すと警告音が鳴り、 […]
第七百七十六夜    目が覚めると低く唸る機械音と床の揺れに辺りを見回し、直ぐに自分が船に乗っていることを思い出した。仕事で飛行場の無い離島へ一晩掛けて向かうフェリーの中、雑魚寝で床に押し付けられていた側の尻や […]
第七百六十八夜    二十二時まで一時間、店に着いてバックヤードで簡単な着替えを済ませ、店内に出る前に済ませておくべき仕事に取り掛かる。雑務は色々あるけれど、その多くは状況の動かない深夜になってから、お客の来な […]
第七百六十四夜    たまの休日に遅く起き、顔を洗ってさっぱりしたところで昼前から酒でもと冷蔵庫を開けて、酒のストックを切らしていたことに気が付いた。この小さな贅沢のツマミに昨晩、出来合いの惣菜を買っておいたの […]
第七百六十三夜    大型連休に遊ぶ金も無く、食費を浮かせようと実家へ戻った。そこは今まさにお兄夫婦が生まれて間もない初子を育てている真っ最中で、邪魔者扱いされるかと思いきやこき使える人手として歓迎はされたが、 […]
第七百六十二夜    事故で大幅に遅れた列車に朝から不機嫌に事務所に着くと、いかにも寝不足と言いたげな隈を目の下に作った同僚がデスクの前で虚ろな目をして珈琲をスプーンで掻き回していた。その余り窶れた様子に自分の […]
第七百六十一夜    昼食から帰ってくると同僚から、 「あのカメラ、駄目だったみたいです」 と、写真屋のロゴの入った薄い封筒を渡された。何のことかとキヲクを辿りながら封筒を開けると、ネガの収められたビニル・シー […]
第七百四十七夜    在宅ワークを終えて夕飯の買い物から帰り、いつもの習慣で郵便受けを覗くと、宅配の不在票が入っていて首を傾げた。郵便受けは毎日カラにしているし、今日は一日中在宅で、呼び鈴が鳴らされていれば気が […]
第七百四十一夜    昼休みに外食から戻ってきた同僚が、小さな香水の瓶の入ったピンク色のラバーケースを指に引っ掛けて揺らしながらデスクに戻ってきた。スーツに身を包んだ巨体にまるで似合っていない。  それを見た後 […]
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