第四百七夜   少しだけ長く寝た休日の朝、寝ぼけた頭で珈琲を淹れながらスマート・フォンをチェックすると、ある米国人の友人から久し振りにメッセージが入っているのに気が付いた。 大学時代にこちらへ留学でやってきて、 […]
第四百五夜   目を覚ますと周囲が青白く、消毒薬の匂いに満ちていた。眠い頭で暫く考えて、自分が入院中だと思い出す。 学校から帰宅して直ぐに急な腹痛に襲われて医者に担ぎ込まれ、虫垂炎、いわゆるモーチョーだと診断さ […]
第三百九十六夜   週の殆どを在宅勤務で過ごしていて、隣家、といってもアパートの隣室なのだが、最近少々気になることがある。 平日の四時半頃になると、小学校高学年の姉が、弟を連れて帰ってくる。数日前に隣室の父親と […]
第三百九十二夜   冷たい風の吹くようになった帰宅途中、住宅街にあるコンビニエンス・ストアへ立ち寄って週刊誌と晩酌のツマミを籠に入れてレジスタへ向かうと、中学の同級生が立っていた。 ここは元々酒屋の持ちビルで、 […]
第三百七十九夜   シャンプーを洗い流した髪を肩口で絞りながらふと目を上げると、換気のため僅かに開けた窓の隙間からこちらを覗く片目と目があって、思わずキャアと悲鳴が出た。 自分でも驚くほどの声だったためか、母が […]
第三百七十八夜   盆休み、今年はこちらの実家の番ということで、夫と子供とを連れて昨冬から半年振りに帰省した。 母の甘やかしによって夕食の片付けの手伝いを免除された娘と息子が居間でお盆定番のテレビの心霊特集を見 […]
第三百五十四夜   五時を知らせる地域放送の『遠き山に日は落ちて』から遅れること十分、小学校低学年の息子が息を切らして帰宅した。 何故約束通りに帰ってこないかと叱言を言う私を遮って、 「幽霊、幽霊」 と大声で繰 […]
第三百五十三夜   連休が明けて、地元の不動産屋から連絡が入った。二人の子供も大きくなって少し手狭になってきたので、彼らが転校する必要のない範囲でもう少し余裕のある物件は無いかと年始頃に相談をしていたのだ。 仕 […]
第三百三十夜   「立ち止まらずに御覧下さい」のアナウンスも虚しく、展示品の前には黒山の人集りが出来、列は遅々として進まないでいた。 列から離れた後方の空間に立ち、特別展示の期限ギリギリまで予定を延ばしたのは失 […]
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