第七百四十七夜    在宅ワークを終えて夕飯の買い物から帰り、いつもの習慣で郵便受けを覗くと、宅配の不在票が入っていて首を傾げた。郵便受けは毎日カラにしているし、今日は一日中在宅で、呼び鈴が鳴らされていれば気が […]
第七百四十六夜    学年末試験まで一週間となった放課後、美術準備室へ忘れ物をしているのに気が付いて、仲の良い友人二人を誘って取りに行った。  準備室は普通の教室の三分の一ほどの広さで、廊下側の扉は施錠され、普 […]
第七百四十五夜    一つ小さな仕事を片付けてフロントへ戻ると、上司が営業スマイルを浮かべながらPCを操作していた。何かあったのかと尋ねると、彼女はこちらに視線さえ向けずに手を動かしながら、先ほどチェックインし […]
第七百四十四夜    夕食を終えて皿洗いをしていると、妹の部屋からドスンと重い音がしたかと思うと、何か硬いものの転げるような音が続いた。目を丸くした父が慌てて立ち上がり、しかし年頃の娘に遠慮をしてまず私に部屋を […]
第七百四十三夜    夕食後にひと暴れして眠り込んでしまった息子を布団に寝かせた後、帰宅した妻の夕食に付き合って軽く酒を飲んでいると、 「会社の同僚の住んでいる近所に、良いかもしれない物件があるらしいんだけど」 […]
第七百四十二夜    連休明け、同僚が何やら浮かぬ顔をしてやってきた。朝から随分とお疲れかと尋ねると、小さな子供がいるから体力的に疲労をするのは確かだが、浮かぬ顔を隠せていなかったのならそれは別の要因だと言って […]
第七百四十一夜    昼休みに外食から戻ってきた同僚が、小さな香水の瓶の入ったピンク色のラバーケースを指に引っ掛けて揺らしながらデスクに戻ってきた。スーツに身を包んだ巨体にまるで似合っていない。  それを見た後 […]
第七百四十夜    午後九時を少し過ぎた頃、日課のジョギングで線路沿いの道を走っていたときのこと、踏切の前に停まる列車の最後尾の車両が見えた。車両の立ち往生か、それとも人身事故か。  住宅街を走る私鉄で、朝夕の […]
第七百三十九夜    昼食から戻って用を足し、ハンド・タオルで手を拭いながらデスクに戻ろうと歩いていると、急に名前を呼ばれた。人の顔を覚えるのは苦手ではないが、手を振りながら歩み寄ってくる男性の名はピンとこない […]
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