第三百五十夜   バイト暮らしに便利だと選んだ繁華街の裏手の古いアパートの、猫の額ほどの小さな庭に、今更斧を振り回す隙間も倒れる場所も無いほど立派なクヌギが生えている。 その根の大きく盛り上がった下に、誰が掘っ […]
第三百四十八夜   新型肺炎の影響で、うちの部署もテレ・ワークとやらを始めることになった。 といって、元々がPCオタクだらけの職種であり、上司はともかく新入二年目の下っ端たる私など、下りてきた設計通りのプログラ […]
第三百四十七夜   例年ならば潮干狩りの盛んな時期なのだが、市がコロナ・ウィルス対策で海浜公園を立ち入り禁止にした。 今日は我が家がその周囲を「朝の散歩」する当番で、ものぐさよりは感染への恐怖心で散歩を拒否した […]
第三百四十六夜   映画を観ながら一人だらだらと夕食を食べた。他人との接触をなるべく避けるためには仕方がないが、なんとも寂しい、一人住まいの夜の過ごし方だ。 映画を観終わって洗い物を済ませ、そろそろ寝ようかと、 […]
第三百四十五夜   母にメモと財布とを渡されて、家から徒歩十分ほどの距離にある駅前のスーパ・マーケットへ自転車で買い物に出掛けた。 マンションの駐車場で縄跳びやバドミントンを楽しむ小学生らを横目で見ながらペダル […]
第三百四十四夜   テレワークの拘束時間が終わったら買い物に行かねばと思いつつ、あれやこれやと資料を作っているうちに、夜も九時を回ってしまっていた。 近所に二十四時間営業のスーパ・マーケットがあるのだが、数日前 […]
第三百四十三夜   二日ぶりに食料を買いに出掛けるついでに、鈍った身体を動かそうと普段訪れることのない方面へ足を向けてみた。 幹線道路に出ても通る車は多くなく、大型のトラックまばらに走るばかりだ。これが非常事態 […]
第三百四十二夜   イベント自粛の影響ですっかり暇になってしまったある日、それでも店を開け、宣伝用のビラや企業ページの刷新作業をしていると、事務所の電話が鳴った。 机を離れて事務所へ急ぎ受話器を取ると、落ち着い […]
第三百四十夜   朝食を終えて洗い物に掛かる妻にへ、 「では、行ってきます」 と手を振って、玄関の自転車を担いで家を出た。四月からの新居候補の幾つかを、サイクリングがてら回ってこいという命令である。 お互い子供 […]
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