第五百八十三夜   梅雨の戻りというのだろうか、暫く続いた雨が漸く止んで一転真夏の日差しとなった日の晩、そろそろ明日の仕事に差し支えるからと日課のジョギングに出た。外に出ると、地面が溜め込んだ水分が昼に温められ […]
第五百八十二夜   子供達が夏休みに入って最初の金曜深夜、妻の実家へ高速道路を走っていた。夜の高速道路はその退屈な眺めと程よい走行音の子守唄とで、どうしても眠気が襲ってくる。 幾度目かの生欠伸を噛み締めて涙を拭 […]
第五百八十一夜   相変わらずのテレワークで自室にてPCのキィボードを叩いていると、いつの間にかパタパタとベランダを雨の叩く音がしていた。夕立と呼ぶには少々日が高いが、朝方見た天気予報では夕立、雷雨を警告してい […]
第五百七十六夜   どうにかこうにか期末試験を乗り越えて、後は全校集会を乗り越えれば夏休み、全校生徒が体育館に集まって整列した。全国的に疫病騒ぎがぶり返しつつある中、特に有名な観光地のあるでもない我が地域では全 […]
第五百七十四夜   バイクの事故で脚を折って入院して約一週間、そろそろ退院してリハビリという頃合いの土曜の朝に、友人が夫人とともに見舞いの果物を持って見舞いに来てくれた。 入院中既に幾度も連絡を取り合っていたの […]
第五百七十三夜   疫病騒ぎで客足の遠のいた観光地に補助金が入って、テレ・ワークが可能な人間が安く宿を取って連泊しながら仕事をするような観光の形式が現れた。同僚の一人がそれで温泉宿に泊まっていると自慢する画面越 […]
第五百七十夜   顧問が急病で部活が半分休みになった土曜の午後、部活仲間と高校近くで急に出来た暇を潰して最寄り駅へ帰ってくると、ちょうど辺りは夕焼けに染まっていた。 額に手を翳して西日に目を細めながらロータリィ […]
第五百六十九夜   入線してきた電車に乗り込むと目論見通りに人は疎らで、七人掛けのシートの両端と中央に一人ずつが座り、片側四枚の扉周辺の隅に数人が立って乗っているばかりだった。 座席はがら空きではあるものの、誰 […]
第五百六十八夜   配送から帰ってきた新入りのドライバが、駐車場に車を停めるなり顔を真っ青にして事務所へと駆けて行った。 ――ああ とちょっとした予感がする。手元の仕事に一区切りを付けてから、事務所へと様子を見 […]
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